第三幕 妓楼の中
ハモンとイチヨは助けた
あまりイチヨの様な
ただ彼女だけ商人に教えられた
「
業界用語では伝わらないと思ったらしく遊女が言葉を選んでいる。特に返答する気も無いハモンは肩を
彼女が紹介した店は
その匂いに思わずハモンは
ただ職場と言うだけあって遊女は
案内された客間、ハモンは警戒心を隠さずにイチヨを手の届く範囲に座らせて遊女と向き合う。
ハモンの警戒心を理解している遊女は
「先程はお礼も言えぬ
「……ハモンだ」
「ウチはイチヨ」
いくら警戒している相手とはいえ
遊女スイレンも最低限の
ハモンより少し年上、十代後半に見えるが
「さっきも言うた通り、ハモンお兄さんは北の防衛都市で起きた貴族軍人死亡の
しかもハモンが北の防衛都市から来たというのは
「そこで、ワッチからの
「……初対面の自分をか?」
「まあ疑問はご
どれだけ良い条件でも
ただ聞かない事には話が進まない。ハモンの視線で先を
「まずお兄さんに声を掛けたのは見ない人やから旅の剣士様と考えたからや。
ハモンは基本的に
ただそんな事情を知らないスイレンは二人とも反応が悪い為に少し焦ったらしい。
「実は最近の帝都はちっと
「……一つ聞きたい」
「はい。何なりと」
「自分は
先程からハモンがイチヨを大切にしていると分かり、彼女に対して
「大切にされとるんやね」
「えっと、はぃ」
顔を赤くして視線を落とすイチヨだがハモンには当然の事なので理由が分からない。一瞬だけ不思議そうな顔をしたが直ぐにスイレンに向き直る。
「まず、帝都の
「自分に隠れて、また違法にさせる事は出来ると思うが?」
「思たよりも疑り深いなぁ。そこは信用して貰うしかないし、基本的にお兄さんがイチヨちゃんとべったりで
「……良いだろう。それと、仮にイチヨが何かしたいと言えば何がさせられる?」
「はい?」
「イチヨは読み書き
「……
想定しなかった要望にスイレンが苦笑する。
確かにイチヨはハモンに大事にされている様だが、イチヨの表情を見るに望んだ方向性ではないらしい。少し残念そうに肩を落としている。
「
「良いだろう」
「それと、読み書きが出来るならこっちからお願いしたい事が」
何か言い
今までの態度では何でも
「店の子供らに読み書き、教えたって貰えませんか?」
今度こそ意味が分からずにハモンもイチヨも顔に疑問を浮かべた。
ここは
「実は、
「まあ、そうだな」
「そんな訳で、読み書き
「お前は出来ないのか?」
「ワッチ含め遊女たちの仕事の
「……イチヨ、教えてやれるか?」
「うんっ」
「分かった。スイレン、最後に一つ」
「何でっしゃろ?」
「
「ちと変わった話かもしれへんね。ただ
ハモンもイチヨも楼主、花車という職業に聞き覚えは無い。
楼主は妓楼の店主であり、花車はその妻で遊女の面倒見役である事が多い。ただ
「イチヨ、自分はこの話に乗るつもりだ。お前が望むなら普通の
「一緒!」
「……そうだったな」
「スイレン。お前の提案、受けよう」
「おおきに。それにしても、同室が
「ああ。頼む」
スイレンとしては否定か慌てる事を想定していたがハモンは何の恥ずかし
ハモンとイチヨは同室というのは彼らの間で共通認識だ。だからこそハモンは先程のイチヨへの発言を間違った
「で、では
「ああ。頼む」
少しの想定外は有ったがハモンとイチヨは宿と仕事を、スイレンは
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