第二幕 西色通りの中
馬鹿げた話だが、
皇帝のお
だがハモンとイチヨを含めた通行人の前に居るシャツの
怒鳴られる遊女が
「たかが体売って稼ぐ女が客選ぼうってのか!」
「ええ、ええ。ワッチも金に成らない相手を客にする程に
金の無い男が、それでも女を買おうと馬鹿をしている。
その程度の話らしい。
イチヨを
そのまま自分の影にイチヨを隠す。男が何かの
そんな遊女に男の
イチヨの肩を軽く叩いて家の影に隠れる様に押し、ベルトから
遊女と男まで九歩。
意図的に足音を鳴らして真横から接近したハモンだが、男は遊女への怒りでハモンに気付かない。
あと二歩。
男が遊女に拳を振り上げる。
ここに来てハモンは
そんな鞘で男の拳を受け止めた。
驚くべき事に遊女は男に拳を振られながら目も
だが遊女は拳が自分に振るわれるのを認識しながら意図的に無抵抗を示してみせた。
その証拠に目は正確に男の拳を追い、
「女を殴る気か?」
ハモンが感情を
男の顔色を見るに酒に酔っている訳ではない。
「
頭に血が
最初から想定した反応ではある。
それでも
これ以上は男に時間を
「
男は
納刀しているといえ刀を持つハモンが危険だと理解は出来る。
どの様な
戦闘意思の無い相手を背中から
男もハモンの視線にたじろぎ、下手は捨て台詞は無く舌打ちだけで去って行った。
イチヨも察しが良く男に見られない様に顔を
男を見送ってハモンは
直ぐにイチヨも駆け寄って来て腰に抱き着いて来る。今度は周囲の目を気にせずにハモンもイチヨの頭を
ハモンが
「あらあら、お礼に
「
「うんっ」
「ちょいちょいちょい」
この場から離れ様としたハモンがイチヨの背を押し西色通りを離れようとすると遊女に白革羽織の
先程から笑みを
「おん?
「何でも良いだろう。離せ」
「ああ、
「
「ほぉん。兄様、ねぇ」
イチヨの言葉に何かを察した遊女が笑みを深くした。
面倒な予感がして直ぐに離れようとしたが遊女が先に気に成る事を口にする。
「お兄さん、ここはワッチの話、聞いた方が
「……何だ?」
「実はこんな
そう言った遊女は
肩を抱いている手からイチヨが体を
内容は珍しくも無い人探し。
読めば北の防衛都市で軍を
「……これが何だ?」
「実は防衛都市には
「それが自分だと?」
「そこまでは知らんえ。ただ、帝都の軍人さんがこの話聞いたら、間違い無くお兄さんは疑われると思わん?」
思わずイチヨの肩を抱く手に力が入ってしまった。赤茶のジャケットに
イチヨには軍人に追われたと伝えてある。遊女の
「分かった。話を聞こう」
「いやぁ、話の分かる人で嬉しいわぁ」
「ただ先に言っておく」
「
「この子に手を出すな」
視線には出来る限り殺気を込めた。
遊女もハモンの
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