第七幕 略奪と、軍人と
数は力だ。
乱戦の様に全ての兵が周囲を警戒しながらも生まれる一対三という状況ですら絶望的なのだ。
ハモン一人では軍人十人に満足な抵抗など出来ない。
正面から
ハモンには尾を振り払う様な集団に対する
軍人を一人二人斬って
正面の軍人が受け止められる事を
その直後に背後から
膝立ちの様な姿勢に成ったハモンは全方位から柄で
「囲まれれば手も足も出ないか。
そう言い返したいハモンだったが殴られた
絶対的強者が弱者をいたぶる様な笑み。
ハモンの敵意を
そんな貴族が地面に転がる
「触るな」
「ほう、俺に命じるか」
「貴様!
「
趣味の悪い
「止めろ!」
「声を
何が嬉しいのかと再び舌打ちしたハモンだが貴族が気にした様子は無い。周囲の軍人たちの方がハモンを睨む事からこの貴族には何かしらの魅力が有るらしい。
そんな風に思っていると貴族が
「む。
そんな貴族の言葉に
今日は冬が明け始めてから最も温かい。森に入るまでのように走り回れば少し汗ばむ程度の
「ゲンスキー様、お風邪を
「む?」
「本日はそれなりの陽気かと。寒いのであればゲンスキー様の体調が疑われます」
「そうだったか。確かに
森の中は葉が影に成り陽が届かない。汗が急速に冷えたと思えば
だがガレアを含めた軍人たちは
その程度にはゲンスキーという貴族は体が
「まあ良い。そうだな、
「何を
「そうだ、野犬も賊も十近く両断するとの話だったな。なれば肉を両断して試すとしよう」
貴族ゲンスキーは確かに横暴ではあるが
耳を疑った軍人の一人がゲンスキーを
ハモンの業物に興味を持ったが
今回も本気で
そう信じた軍人の腕をゲンスキーは
「あああああああっ!?」
「ゲンスキー様!?」
「気でも
軍人たちが混乱する中、
それでも部下に大怪我を
ゲンスキーは腕を切り飛ばすのでは
軍人たちはゲンスキーの
ハモンの
ガレアが掴み掛かったとはいえゲンスキーは貴族、
だから軍人たちは刀を捨て
つまり数が必要だ。
ハモンも
ゲンスキーの注目を集めない様に軍人の影で静かに立つ。
「ふ、ふははははっ! 見ろガレア!
「お
「どのような
叫ぶゲンスキーによって十人居た軍人の内、四人が切り殺された。
大怪我を覚悟していた軍人たちだが死者が出れば流石に悲鳴を上げる。
「総員、武器を取れ!」
五人の軍人が斬り殺された。
ガレアが軍人たちに指示を飛ばす。ガレアと軍人たち六人でゲンスキーを斬ってでも止める。
身内に
木の陰に隠れたハモンの不在に気付いた軍人も居たが今は気にしていられない。
抜刀する者は良いが、ハモンを
その隙を見逃さないゲンスキーに二人が斬られた。
「何で、何でまだ斬れるんだよ!」
生き残った二人の軍人が悲鳴を上げた。
この場で振るうだけでも
そんな夢物語が現実に起きるのであれば夢物語などと言われていない。
ガレアも軍人二人も、より
先程まで
あれでは
にも
少しでも自身の混乱を解消する為にガレアがハモンを探し、見つからない為に叫んだ。
「白革羽織、あの刀は何だ!?
妖術など枕物語の世界の話だ。理装も無しに物を
だがそんな
ハモンは答えない。
ガレア、軍人、
生き残った彼らにゲンスキーが注目しているのを利用し草むらに身を隠してサーベルを拾った。
その間に、ガレアはゲンスキーの
木々が乱立する森の中で振るうには
左右への大きな回避、木を盾にされるといった相手の
部下にゲンスキーが左右に逃げるのを妨害する様に指示し、ガレアが正面から長槍でゲンスキーに
「お覚悟!」
足元に向けられた
矢の様に
確実に致命傷を与える為に狙いは胸。中心から左に掛けて存在する心の臓を突き
刀の間合いの外からの、必殺を願った突き。
だがその槍が正面から
長槍を握るガレアの左手が
腱が切れた為に上がらなくなった右腕から左手で
貴族ゲンスキーを護衛していた一団が全滅した瞬間だった。
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