第六幕 貴族と、刀と
防衛都市は周囲を
ハモンは建物や人混みで軍人たちの視線を切りながらこの森に逃げ込んだつもりだった。
だが実際には
木の陰に身を隠したハモンが木々の
その背後には
だが腰に一般的な刀も差している。持主が大き過ぎて旅人の護身用である
「白羽織の。森に逃げたのは分かっている。
自分に関係が無ければハモンは軍人を
ただ
森とは言っても崖と都市部に
ハモンが出て来ないと判断しガレアが軍人たちに森へ踏み込む様に指示を出した。まるで
軍人たちの様子を見てハモンはより森の深い位置に移動するが相手は十人。人探しの
特に影の差す暗い森の中で白革羽織が目立つ。
「発見! 発見しました!」
一人の軍人の声が響き、ガレアを押し退けて
ハモンの位置からそんな貴族の動きは見えない。
ただ軍人たちの慌てた声から貴族の動きは想像できた。
反射的に振り返れば
自分が見えるという事は、相手からも見えるという事だ。
遠目にも視線が合ったのが分かる。
筋力も、足の長さも違う。貴族の速力なら直ぐにハモンに追い付く。
意を決しハモンは地面を
貴族を相手に
その姿を
「貴様が白革羽織の剣士か」
権力的強者に特有の態度を前にハモンは
「部下から
「……どの様に?」
長槍を
軍人たちが
力は有るが
ハモンの質問に貴族は軍人の一人へ
「自分は
「なら兵に力を見せてみろ。お前の力が見れれば直ぐに済む」
貴族らしいと言えば貴族らしい。
平民の
しかもハモンの事を一方的に知りながら名乗りもしない。
貴族に
既に上段構えからの長い踏み込みであれば両断できる間合いだ。遠い西方の
この軍人がその流派を
ただこの立ち合いはハモンの
貴族の背後でガレアが
小さな動作で抜刀したハモンは
ここは道場ではなく、軍人と旅の剣士という実戦を
軍人がハモンに抜刀を
だから、軍人もそれ以上に実戦から外れた
正面からの
実戦に
軍という集団戦闘を
ハモンも対人剣術には
国では野獣や
ハモンもその教えに納得している。剣は対人ではなく対人外を想定した護身用、
だから
腕だけでは守り切れない可能性を考慮して右目だけは閉じ細かい
右足を蹴り上げた軍人は
ハモンが前に出てきたのは意外だった様だが迷いは見られない。距離が近過ぎてサーベルの間合いの内側に入っている。
ただ、ハモンの方が早い。
頭部の前で重ねた腕で半端に浮いた右足の
日常的に訓練している軍人は簡単には
だがそれでは致命的に遅いと理解しているらしい。
体当たりしたハモンが姿勢を整える方が早い。
低くした体を持ち上げる
「ぐっ」
短く
宙に浮いた状態での追撃によって姿勢は完全に崩れ着地も出来ないと自覚したようだった。
背中から倒れた軍人に
「……見事だ」
模擬戦ならばここまでだろう。
どちらかが大怪我を
貴族もそれは分かっているらしくハモンと軍人に
「だが不満だ。俺は
「木人形でも斬れば良いのか? それとも
「それでは
貴族らしい
「その刀、
「……」
「
「断る」
自覚できる程に顔が
とても
「野犬も賊もいくらでも両断すると聞いている。そうだな、貴様の羽織、羽の
「断ると言った」
「……二度は許さぬ」
自分に
興奮して耳が聞こえなくなったかと思っていたが
少しだけ見直したハモンだが、状況の悪化は理解している。
軍内部でも十人の兵の指揮権を持つ十士将が部下を総動員し護衛する相手だ。防衛都市の最高権力者と予想できる。
既に旅の剣士の手に
せめてイチヨに
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