終幕 帝都への道
村は滅ぶ。
白革羽織を血に
生き残りも男たちが優先的に殺された為に女子供が多く畑仕事にも狩りにも向かない。生き残った山賊が再び襲撃してくれば今度こそ村娘は
腰の曲がり始めた村長は妻を
生き残った男は三人。
村の現状を受け止め、生き残りは別の村への移住を
幸か不幸か天涯孤独と成ったのはイチヨのみ。その彼女には両親の死を受け入れる
直ぐに村人全員が村を
旅の
誰も彼もが
そんな大人たちからの邪魔者を見る視線を子供特有の
この村にイチヨが残っても生きていられないだろう。村人と同行しても悪い影響を受けるだろう。
だからハモンは白革羽織に付着した血を雪水で
「イチヨは自分が面倒を見よう。構わないな?」
意図的に冷たい瞳で村人たちに声を掛ける。
国を出る少し前から表情を作るのが下手に成っていたのが
誰も彼も余裕が無いだけで邪悪な
本来なら今朝に村を
できるだけ早く定食屋夫婦を
既に墓地の場所は聞いている。
受け取っていた握り飯はイチヨと分け合い、定食屋の
声も上げず、表情も変えず、感情の
埋葬を終えた頃には日が暮れた。
定食屋には半端に準備していた昼食が残っている。かまどの火を消した為に味噌汁は冷え米は完全に固まっている。
村人に声を掛けて作りかけの味噌汁は生き残りで適当に分けさせた。納屋には日持ちする
その間、イチヨはずっと体のどこかをハモンに触れさせていた。食事の際もハモンに引っ付いていた為に腕が動かし
彼女に対してハモンは気持ちを分かってやれると言うつもりは無かった。大切な者を失った悲しみと衝撃は個々人で違うもので例え身内といえど同じ気持ちだとは限らない。
客室に
酷く汗の噴き出す一日だったのだ、汗だけでも
確かに風呂まで共にした仲ではあるが少しの気まずさは有る。
「
夕食の時もそうだが素直に
宣言通りに背中を拭いてやればイチヨは何かを思い出した様にハモンの背後に周り濡れ手拭いで背中を拭き始めた。
両親と風呂に入った時に背中の流し合いをした時の
まずはイチヨの好きにさせて少しでも感情が出せる様に協力するつもりだ。
そんな風に考えているとイチヨが背中に張り付いた。抱き着いたというのが正しいのだろう。
手も体も震えている。
その姿が痛々しくてハモンはイチヨに振り返り
「遅れて済まない」
「っ」
胸元に顔を押し付けたイチヨが
押し入れに隠れていた時から現在まで彼女は一度も声を出していない。泣いて悲しみが軽く成るかハモンには分からない。
ただイチヨがこのまま感情の無い人形に成り下がるよりは良いと思った。
旅に連れて行く以上、危険や別れは多い。定住していても危険も別れも有る事は証明されてしまった。だが間違いなく別れだけは旅の方が多いだろう。
イチヨの意思も確認せずに旅に連れ出す事を強制してしまった
だから彼女と別れるその日まで、ハモンはイチヨを守ると決めた。
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