第四幕 旅立ちの前
初日は
雪道を歩き回った疲労に定食屋の客室で脚を
ふと、雪の冷たさに備えたタイツを
「どうした?」
「今日は
「ん? そうか」
「剣士様も行かない?」
村に来る数日前から湯浴みはしていない。就寝前に
確かに連日に渡り雪道を歩き回っていたので
「風呂が有るのか?」
「うんっ。村長さんがお
「
「やった! ウチ、トト様とカカ様に言ってくるね」
村長とはいえ個人宅の風呂が男女別に用意されているとも思えない。その割にイチヨはハモンの風呂に同行するような口ぶりだった
「いやぁ、娘が無理を言ってすみません。お邪魔でなければ連れて行ってやって貰えませんか?」
「ああ。自分は村長宅の風呂の
「はい。何度か家族で使っていて娘も慣れております」
風呂から戻る頃に夕飯を用意するとの提案を
「村長さんのお
「そうか。イチヨ、前を見て歩け。危ないぞ」
「え~」
「ならば手でも
「良いのっ?」
直ぐに桶を渡してくるイチヨに少し驚いたハモンだが素直に桶を受け取り右手でイチヨの左手を握った。
身長差が有るのでイチヨは腕を肩の高さ程度まで上げている。何が楽しいのか
そんな
最後に妹を見たのは彼女が
イチヨの手を握る右手に無意識に力を込めないように気を付け、村長宅に到着した。
戸を叩いて
風呂場を知っている事を
握った手を引っ張るイチヨに連れられて村長宅の奥、脱衣所に入る。風呂が楽しみなのかイチヨが興奮した様子でワンピース、ショートジャケット、ショーツを
「お風呂に手拭い入れちゃいけないんだよ」
「湯舟には入れないから問題無い」
「そうなの?」
「
「銭湯って
説明しながら
思った以上の大きさに驚きつつ
「
「ごめんなさい~」
口だけのイチヨだがハモンもそれ以上は
最初は何をされているのか分かっていなかったイチヨも撫でられている事を理解して
「
「そうだな」
旅を始めてからここまで人と触れ合ったのは初めてかもしれない。
今まで知り合って来たのは
思い出すだけでも
そう考えると
「旅の前に
「……剣士様、どこかに行っちゃうの?」
「帝都を目指している」
「……そうなんだ」
元々ハモンが
「帝都での用が
「ほんと? 本当に?」
「ああ。その時にはイチヨの作った飯を食べさせてくれるか?」
「うんっ」
再会がいつに成るかなど約束できない。本当に村を
それでもイチヨが笑えるなら悪い約束ではないだろうと思いハモンは頭を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます