第二幕 旅の剣士
北方の地は
そんな屋根から
落下する雪は想像以上に重い。
悪い村ではない。
一般的な雪に
そんな村を旅の剣士が
納刀されていても刀は刀。硬い棒として振るわれれば充分に凶器に成る。
しかし左手の中指にだけ
「おお、剣士様! 虫は、虫は退治できましたか?」
「ああ。といってもアムリでなくガムリが出た。連戦は呼吸が持たないからガムリを倒して帰って来たが」
そう言って剣士は引き
人の腕の太さ程も有る牙に村長の顔が恐怖に
「
「
「代わりに宿と食事を
村の中で金銭が
剣士への
そんな約束を取り付けた剣士は村長の案内で宿に向かった。
村に
大きな村でもない旅人の
今まで通って来た村と変わらない。
剣士は疑問に思う事も無く定食屋一家に
「旅の者だ。数日の
「ガムリを一人で狩ったんでしょう。凄い剣士様だ」
「あら、滞在中はアムリ退治もしてくれるの?
ただ白いワンピースと黒いタイツ、赤茶のショートジャケットが似合う
剣士は
嫌われたかと肩を
「ほらイチヨ、剣士様にご
「え、えと、ウチは、イチヨで、す」
「ああ。自分はハモンと言う。よろしくな」
顔を
確かに自分でも似合わない事をしていると思うがそんな目で見られるのは心外だ。
自己紹介を終えて立ち上がったハモンを苦笑した母が二階の
素直に後に続き案内された和室に荷物を置く。
窓から村を
数人は定食屋で夕食を取る為かこの家を目指している。
とは言え帝都に向かう旅の途中なのだ。
数日で小太刀は作れないし小手や脛当が
そんな風に考えていると村人たちが家の前の
旅の途中で
そんな事を考えていると
高い少女の声なので先程
「入れ」
恐る恐るといった様子で襖が開き赤茶のショートジャケットを着た
米が有るだけでも
「お夕飯、持って、きた」
「助かる」
自分の事は苦手だろうと
襖の影に隠れて分からなかったが盆は正方形ではなく長方形だったらしい。イチヨが運んで来たのは二食だと気付く。
両親と
「何をしている?」
「お夕飯、ここで食べる」
「ん?」
意味が分からず困惑するハモンだが下から聞こえてくる
そう考えてハモンはイチヨが並べた
「そうだな。共に食べるか」
「……うんっ」
最初の様子を思い出せば意外な程に素直な笑顔を向けられハモンとしては反応に困る。
ただここで少女を怖がらせるような態度を取るのも情けないので精一杯の笑顔を作り手を合わせた。
「頂こう」
「頂きますっ」
だからと言って気の
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