第2話

銘花に振られた。


それだけが今俺の頭の中を埋め尽くしているものだった。

初めての彼女だった銘花に振られることは俺のとってとても大きなダメージを与えた。

ベットに寝っ転がって考える。

なぜ俺は振られたのか。

なにか銘花がいやがることを俺がした?

銘花がこの世で一番イヤなことは俺と同じで嘘をつかれること。

しかし俺は銘花に嘘をついたことがない。

じゃあ俺は何をしたんだ。


わからない。


何か彼女を怒らせてしまったのか?

銘花が怒るようなこと。


わからない。


俺は銘花のことを何も知らなかったのかもしれない。

自分の過去を共有できたから。

銘花の過去について教えてくれたから。

自分が、高接 雄星(たかつぎ ゆうせい)が彼女に皇 銘花(すめらぎ めいか)にとって特別な存在になったのだと、一人で思い込んで舞い上がってただけなのかもしれない。


ふと部屋も見回す。

俺の部屋にあるものは、勉強机とその横に本棚、ベット、枕の横には銘花との初デートで買ったペンギンのぬいぐるみ。


「思ったより少ないな」


銘花とお揃いで買ったものはこのぬいぐるみだけ。

そのぬいぐるみをとってゴミ箱へ投げる。

結構お金もかかったし、愛情も込めてきたこのぬいぐるみを俺はこんなにも簡単に捨てられるのだと正直驚いた。

俺はこの形に残った唯一の思い出を捨てたことで銘花のことを忘れられるのだろうか。

わからない。

ただ俺は明日から学校に通うことはできないだろうな。

母さんにもいけって言われるのかな。

ゴメンな母さん、せっかく金払って高校行かせてくれたのに俺不登校になっちゃうわ。



<???>

Twitterで一人の男子高校生が路上で泣きじゃくる動画を見つけた。

その男子生徒は彼女に振られたらしく、コメントには『かわいそう』とか『何して振られたんだ』とかたしゅたようなことが書き込まれていた。

私は動画で泣いている男子生徒に心当たりがあった。

それは私が密かに思いを寄せる先輩。


「高接先輩…?」


彼女がいたんだとか、泣いてるとかそんなことを差し置いて私は先輩に、会いたいと思った。

私なら先輩のこと振らないのに、もっと大切にするのにと先輩の元カノに怒りさえ覚えた。

どうして?どうして先輩を悲しませるの?苦しませるの?

先輩を振った女を見つけ出してやる。そして一発殴らせいて欲しい。

なんてことを思う私はおかしいのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る