生まれてからの17年間嘘をつかれすぎた俺が、最愛の彼女の嘘の別れ話を本当だと思い込んでしまった結果

さらさらじゅぶこ

第1話

最初は些細なことだった。

小さな嘘、小学生だった俺たち子供の小さなお遊びの嘘。

それが俺は嫌いだった。


『ゆうせいくん!かくれんぼしよー。見つからないからって帰っちゃダメだよ?』


小学生の頃の思い出はない。

あるとするなら、これぐらいだろう。

まぁ、いい思い出じゃないけど。


『皆どこー?!怖いよ…みんな?』


友達は俺に帰るなと言っておきながら俺が見つからないからと言って先に皆で帰った。

俺は家までの道をど忘れして一人公園で泣き叫んだ。

それから3時間後警察に保護されて、家へと送り届けられた。


翌日、俺をおいて帰った友達はへらへらとしながら俺に話しかけてきた。

怖かった。また嘘をつかれるんじゃないかと思った。

だから俺は小学校で人を信じることの危険さを知った。


『雄星、今日一緒に帰ろうぜ』

『おっけー、靴箱集合な?』


小学校から進学して中学生の頃、俺には親友と言えるレベルまで仲良くなったやつがいた。

そいつはいつも俺を気遣ってくれて、優しいやつだった。

表上では。


『寄り道しようぜ』と言われてついていったら俺はいきなり殴られそいつの後ろからはどんどんと人が出てきてそのまま集団リンチ。


中学になって同性のすぐ話しかけてくるような陽キャが危険だと知った。

それからも俺は高校に上がるまでに数100という嘘をつかれてきた。



そんな俺にも彼女ができた。

高校に上がって俺と同じようにいじめにあってきた女の子と付き合った。

最初は少し話すだけの関係だった。

それから段々と話すようになってお互いのことを知って、付き合った。

だからこそ彼女、皇 銘花(すめらぎ めいか)から言われた言葉はありえない言葉だと思った。


「別れましょ、雄星くん」


「な、なんで?!」



ありえないと思った。

互いにいじめられた事があるなら、嘘をつかれたことがあるなら、人に嘘をつかないと思った。


「ごめんね、ちょっと確かめさせて」


銘花がなにか言った気がした。

でも泣きじゃくる俺の耳じゃ聞き取れなくて、俺はその日彼女を失ったと思い込んだ。

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