第十一話 修業と忍耐
ーーーー佐斗葉視点ーーーー
「はぁっ...!はぁっ......!!」
僕は剣の素振りとランニングのメニューをどうにかこなし、ヘロヘロになっていた。
ちょっと前から澁鬼の日々の鍛錬に付き合わせて欲しいと頼み込み、こうやって日々修行に励んでるけど、これが中々にしんどい......。
でも澁鬼はこれを毎日欠かさずやっていたかと思うと恐れ入るし、だからこそ手に入れた強さなのだと納得した、
「はい、佐斗葉お疲れ様」
様子を見に来ていた雪姉ぇが飲み物を差し出してくれる。
「ありがとう、雪姉ぇ」
僕が修行をしたい事は皆賛成してくれたけど、僕が前線に出ることに関しては皆難色を示した。
だが、貴船が僕の知らない所で口添えしてくれたらしく、最終的にはOKを貰えた。
「二人ともタオル持ってきたから使って」
そう言って雪姉ぇは僕と澁鬼にそれぞれタオルを投げる。
がーーーー
「雪姉ぇ、これ澁鬼のだよ?」
「こっちが佐斗葉のだぞ雪嶺」
「あれ......?」
雪嶺はまた凡ミスを犯した。タオルは大きさこそ一緒だが、色が全く違う。
僕のは白く、澁鬼のは黄色だ。
雪姉ぇがさほど注意して見ないで僕たちに放ったんだろう。相変わらず変なとこでおっちょこちょいだなぁ。
でもここでまた何か言うと、確実に惨劇になる未来しか見えないので止めといた。
...いやぁこの場に恵里菜が居なくてほんとに良かった......。
しばらくしてから、休憩を終えた澁鬼が僕に話しかける。
「よし佐斗葉、次は実戦、模擬戦闘に入るぞ」
「うん!分かった!!」
ここからがいよいよ本番だ。
僕と澁鬼は広い荒野を舞台に向かい合う。やっぱこうして目の前に立つと澁鬼の放つ威圧感みたいなのに呑まれそうになるし、何よりすっごい緊張する...。
あと磁力付与は無しにしてもらっている。
「始め!!!!」
いつの間にか僕らの間に居て何故か勝手に審判みたいなことをやりだした雪嶺には互いにツッコまず、お互いに刀を振るうーーーー!!!
ガキンッ!!!!!
やっぱり重い......!!
雪嶺には遠く及ばないものの、かなりのパワーだ......!!
ガシャンッ!!!
どうにか弾くが、澁鬼はすぐ第二波をお見舞いする。
ガキンッ!!!ギギギギギ......!!!
辛うじて反応出来たが、僕の方が体勢が悪い。もう一度弾いたとしても、恐らく僕の体勢復帰が間に合う前に澁鬼から斬撃を喰らってしまう...!!
だからこそ、ここで上手く切り抜けないと行けないが、この鍔迫り合いもジリ貧だ。
だけどここで押し負ける訳にはいかない......!!
耐えろ、耐えろ耐えろ耐えろ...!!
僕が心で唱えた次の瞬間ーーーーー
スゥゥゥゥ.........
「「!!!!??」」
僕と澁鬼は突然目の前に起こった光景に言葉を失った。
刀をぶつけて何度も飛び交った火花は
まるで吸い込まれるかのように
僕の刀へと消えていったーーーーー。
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