挑戦者よ、現れて
心境の変化
自分の目標も大事だが、マンガ界全体のことを考えていた碧波。トップに君臨し続けることも大切だが、次世代を育てることも必要なのではないか。
瑠那にこれまでのランキングを出してもらうようにお願いすると週刊と月刊の両方を発売号の順位が出た時に記録をしていると聞いてそこまでしているのかと驚いた。
週刊「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」
65週連続1位
月刊「新従姉妹恋愛物語」
5ヶ月連続1位
数字で改めて見るとスゴいと感じていた。その上で瑠那にもし赤松碧波の作品がなかったら他の作品がランキング出来るのかなと呟く。
碧波、連載するの止めるの?確かにそうしたら他の人たちはチャンスがあるかも知れないけどそうすると雑誌の売上が下がるから編集社の人たちが許してくれないとおもうし、どんな手を使って引き止めると思う。
「石岡杏子と子グマリナちゃん物語」の代わりに新しい連載を始めようとした時にお願いだから続けて欲しいと頭を下げられたことを思い出した。
これだけ長い間1位でいられるのは自分だけの力ではない。傍にいるアシスタントさん、毎週、毎月のように作品を心待ちにしている読者がいてくれるから頑張って描こうと思いそれが順位として反映しているだけ。
その中で単行本やマンガ化、アニメ化、映画化になっている。もしかしたら碧波がずっといることで他の誰かのチャンスを奪っているのではないかと考える。
瑠那にそのこともふまえてどうするべきか相談する。
パソコンで打っていた手を止めて腕組みをして考えていた。
前に言ってた株式会社赤松碧波を設立することって考えてたりする?その質問にすぐには答えられなかった。
碧波の中で1つ目標を掲げることにする。
それは株式会社赤松碧波を設立するにあたって自分に厳しい条件を突きつけた。それは週刊100週連続、月刊20ヶ月連続1位を獲得する。
それまでに碧波以外の誰かが1位を取れば今まで通り連載を続ける。そうでなければ看板作品である両作品を終わらせて次のステップに進もうと考えていた。
そのことを瑠那に伝える。
また仕事が増えそうだと嘆きつつもどこまでも碧波について行くよと言ってくれることにとても心強いと感じている。週刊担当の河島さん、月刊担当の白翔にそのことを伝えると強く引き止められることはなかった。
そしてブログにプロアマ問わず赤松碧波の挑戦を受けて欲しいと週刊連続100週、月刊連続20ヶ月1位を獲得したら連載をしない。そのために上を目指してこの戦いに挑みに来て欲しいと伝えた。
奮い立たせるコメントもあれば最初からムリと消極的なコメントもあり、この先の展望が見えずにいた。
必要なこと
仮に株式会社赤松碧波を設立した時のことを考えて色々とシミュレーションをしていた。
資本金はいくらなのか。月給いくらなら集まるか、最初は何人からスタートするのか、拠点をどこにするかなど挙げればキリがないくらい考えることが沢山ある。
可能ならここにいるアシスタントさんたちをそのまま招き入れたいと考えていて近くなったらオファーをするが受けるかどうかは本人たち次第。誰も来ないとした時のことも考えなくてはならない。
将来的にはマンガ家の発掘以外にも他のジャンルにも手を伸ばしていきたいと考えているがまずは基本路線としてマンガ家の育成をメインに考えていた。どの時点で声をかけるか、それも踏まえて悩んでいる。
とは言っても株式会社赤松碧波設立のことばかり考えていられない。それを軸にして他の人に追い抜かれていては元も子もない。まずは目の前のことをする。
途中経過を瑠那から知らされる。
週刊80週連続、月刊10ヶ月連続1位とまだまだ赤松碧波を上回る作品が出てこない。単純計算で週刊で残り5ヶ月、月刊で1年近くになる。
このままでいけば週刊が連載終了すれば少しゆとりが出来る。月刊に集中しながらも募集をかけたりしたりホームページを立ち上げたりとすることが出来る。
残り10回を切ってくると終わり方を考えなくてはならない。
「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」
この作品をどういう形で終わらせるのがいいのかと着地点を考えつつ描いている。
ネームを描き終えてアシスタントさん全員に残ってもらうように伝えてどのような形で終わるのがいいか話し合うことにする。
主人公石岡杏子、リナちゃんの母グマだった。人間とクマは共存出来る世界になり、ドングリや果物などの食べて地上に下りてこないようにする。好きなオスクマを見つけて幸せに過ごすようになると意見が出た。
実際、クマが山から下りて食料を荒らすのは自分たちが食べるものがないからそれを探しに来る。
そういう意味では山も食べられるものがあればわざわざ降りてくる必要がない。そうすれば農家の人が被害を受けることも減ると考えられる。
人間と動物、それぞれが幸せに生活して欲しいというのがこのマンガで伝えたいこと。
そして主人公石岡杏子、そしてペットとして飼っているリナちゃんそれぞれに幸せになるような形にしたいこの思いは描き始めた当初から考えていたことだ。
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