澄んだ空気
休める期間
年末、アシスタントさんと白翔を連れて温泉旅行に行こうとグループラインで提案をする。
だがもう帰省していない、家族と過ごす予定なのでと断られてしまう。ふと考えると碧波自身、数ヶ月前に実家に寄ったくらいだったからそうなるよねと納得していた。
白翔とともに温泉旅行に行こうとどこに行くか話し合っていた。
北海道に帰って温泉に行こうかと調べていた。
首都圏の有名な温泉街を再び調べると神奈川県の箱根温泉、静岡県の熱海温泉、群馬県の草津温泉や伊香保温泉などを候補に挙げた。
検索するとどこも満席が多く、その中でたまたま空いていた草津温泉に決めた。
いくつかルートがあり、電車で行こうとすると途中下車してバスに乗り換えなくてはならない。
他には所沢から新宿まで出て高速バスに乗ると草津温泉バスターミナルという場所まで連れて行ってくれる。
高速バスをネットで予約し、1泊2日で早く出て温泉街を歩こうと碧波が提案すると白翔は笑顔でいいよと答え、この日はお泊まりの用意をして寝床につく。
お互いに忙しくてどちらか仕事が終わって帰ってくるとどちらかは布団にくるまりながら寝ているような感じ、顔を合わせるのは朝の僅かな時間しかない。他から見ると恋人というより同居してる従姉妹としか見えない。
昔から碧波のマンガを手伝ってくれている時や月刊「新従姉妹恋愛物語」で担当してくれている時はホント頼もしいし、気づかなかった視点で言ってくれる。
だが、プライベートでは甘えん坊で手を繋いだり、頭を撫でただけで顔を赤くするかわいい従姉妹。このギャップが何とも言えなかった。
現地に着いて荷物を泊まる旅館に預けて温泉街を歩く。足湯や草津温泉の代名詞、湯もみを生で見ると臨場感があって感動をする。
別の所では猿が湯もみしている姿にそこにいた全員がかわいいと声をあげるほど。陽がしずみ、旅館に戻って食事が部屋に届く。
上州牛を使ったすき焼きや嬬恋村のキャベツが入ったトンカツ、他にも美味しそうな料理が並べられている。ご飯は玄米で体にもいいなと感じていた。
食事を終えて碧波は外を眺めている。いい部屋だね、来年もいい年でありますように。白翔、同じ布団で一緒に寝る?
顔を赤くして布団を被っていた。いくつになってもかわいいなとスヤスヤ眠る白翔の姿を見て愛おしく感じていた。白翔は碧波と結婚したいって思っているのかなと呟きつつ眠りについた。
年明け
翌日、元日を迎えて無数のあけましておめでとうございますというラインが届いていた。
それはアシスタントの瑠那、由依、加奈、隼人、真人、拓人。そして人気声優として活躍する晴香からも届いていた。
夕方まで温泉街を歩いて泊まらなくても入れる温泉に入って食べ歩きをしてと高速バスの時間までずっと歩き続けていた。
お土産コーナーを見て驚いた。それは碧波の代表作、「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」のご当地グッズとしてリナちゃんが高崎だるまを持っているかわいいぬいぐるみが売られていて思わず買う。
年が明けて1週間、それぞれの故郷から帰ってきたアシスタントさんたちはお土産を持って碧波の家に挨拶をして仕事を始めようとしていた。
ご当地のお菓子とカバンに付けられたご当地のリナちゃんキーホルダー。群馬県以外の地域でも売られていることに嬉しく、最寄駅の所沢や東京はどういったものなのか気になっていた。
今年の抱負をどうしようか考えていた。
日本国内でマンガ家赤松碧波の名前を知らない人はいないくらいの人気になっから、次は世界制覇を目指そうと意見が出た。
だが、規模がデカすぎて想像も出来ずにいた。そして仮に世界制覇をするためにどうしたら出来るのか、翻訳して販売するのは誰がするのかとやるべき事が多い。
碧波はせっかく出してくれた意見だから却下する訳ではなく、理想に掲げた。そうすれば波風が立つことないと考えていた。
週刊や月刊で新連載をしたらどうかと由依から意見が挙がったもののとても現実的ではなかった。今描いているだけでも疲弊していることを考えると……。
グッズやアニメ化はマンガ家である碧波がどうにか出来る問題ではなく、運とタイミングみたいな所があるため中々難しい。これといった抱負が見つからない。
このまま考えても
年始最初の発売号で1位を獲得してひと安心する。年内最初と最後は特に順位がドキドキする。この勢いで月刊の「新従姉妹恋愛物語」も1位を取りたいと思いつつ作品を提出するとこちらも1位スタートを飾った。
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