大切なこと
体力勝負
アシスタント兼広報担当の瑠那に合鍵を作って渡すことにする。
それは碧波が打ち合わせで外に出かけている間、家でやってもらうでもいいしイベントに関すること大学のレポートなどを碧波の家でやれば時間短縮になるからとお願いがあったから。
それは碧波も同じことを考えていて合鍵を作ろうか考えていたため、そう言ってもらえて助かっていた。
瑠那に大学の単位はどうか聞くと後はゼミだけ、それもパソコンで参加オンライン出来るので事実上大学に行かなくてもいいみたい。卒論を提出する時に大学の事務局に行く必要があるためにその時は。
これからは週刊と月刊の両方をやっていくため、心身ともに疲れを残さないように。後はどれだけ多忙であっても朝昼晩と食事は摂るようにしようとしていた。
ふと考えたがアシスタントさんたちがどこに住んでいて来るのにどれくらいかかつているのか知らなかった。
グループラインで聞くと近くは東村山にある秋津から遠くは江戸川を渡れば千葉県に入る葛西と聞いてよく所沢まで来てくれているなと感じていた。
毎日決まった時間に来る瑠那、ノートパソコンとワイヤレスイヤホンを持参してゼミの課題や授業に参加する傍らで碧波のアドレスに届いているメールをチェックをしつつアシスタント業務もやってくれている。
非常に頼りにしつつもどういった案件が届いているのか受けるかどうかは予定を考えつつ決めている。
週刊と月刊をすることになり、どこかに赴いてイベントをするのもいいが、移動時間もあるからしばらくはオンラインイベントに切り替えて慣れてきたら再び現地でイベントをした方がいいのではと瑠那から提案をされる。
碧波の本業はあくまでもマンガ家だからそうしよう、オンラインイベントでも大丈夫か届いた所に返信して見てほしいとお願いをする。曜日指定や現地に来て欲しい所が多く、見送るケースが多くなっていた。
ネームを描きながら瑠那の様子を見ていた。残りはゼミだけだから他のことは碧波のことに時間を充てることが出来るとは言ってもよくやってくれているな。
歳下の碧波に対しても敬語で低姿勢。人としても素晴らしいし、周りのアシスタントさんの気配りも出来ていて欠点が見つからない。
今まではアシスタントさんを苗字で呼んでいたが1年経ったし、コミュニケーションを取って仲良くなっているともあって名前呼びに変えることにする。
年齢や上下関係が大嫌いな碧波、これからは名前で呼ぶようにとグループラインで送る。その方が障壁もなく、対等の関係だと考えた。
分析
週刊と月刊、両方作品を描くことは大変だなと覚悟はしていたが実際に始まってみると考えていた以上に大変だなと感じていた。
アシスタントのみんな泣きごといわず碧波に付いてきてくれているから自分が弱音を吐いてはいけないと考えていた。
コン詰めすぎないようにタイミングを見計らってそれぞれ休憩するように声をかけている。するとそれは碧波も一緒だよと笑顔で声をかけてくれる。
ひと息ついている時に誰かが何か
面白そう、それなら夏にプールに行くのはどうかな。それならビキニは必須だけどあまりセクシー過ぎない方がいい。そうすると作品として変わってくると言った声が飛び交う。
碧波がアシスタントさんたちに来てもらっているのは作品を手伝ってもらう目的もあるがどちらかというと自分にはない発想を意見として出してもらうこと。
その中でいいと感じたものは積極的に作品に取り入れようと考えていた。
月刊と週刊で打ち合わせが違えば担当も違う。その日程もアシスタントと兼務をしている瑠那が担当をして重複しないように河島さんと白翔共に連絡を取り合ってくれている。
碧波自身でやっていたアシスタントさんのスケジュール管理も一緒にやるよと瑠那が率先してやってくれるおかげでマンガを描くことに集中することが出来る。
夕方になると疲れが出てヘトヘトになっていた。毎日高級焼肉をご馳走したい気持ちだが、中々そういう訳にもいかないので差し入れとして飲み物と甘いものをコンビニで買って渡している。
碧波、私たちアシスタントにそこまで気を遣わなくていいよと言ってくれるがこれくらいしか出来ないからと返事をする。どれだけ忙しくても見えなくなるまで見送るようにしている。
瑠那が話しかける。
碧波、ホント律儀だね。立て込んでいても手を止めて見送るのスゴいね。その姿勢が人気の秘訣なのかなとノートパソコンを部屋に置いて自転車に跨り帰って行った。
翌朝、特に定時を決めているわけではないが同じ時間に瑠那か家にやってくる。ソファーに横になるように伝えてマッサージをする。甘えてはいけないと思いつつも欠けては困る存在だからさ。
その後、入れ替わって碧波がソファーに横になって瑠那にマッサージしてもらう。
私たちはマンガが好きでいるのは勿論だけどマンガ家赤松碧波の作品が好きでここにいるよ。アシスタントを大事にするのも大事だけどまずは自分を大事にね。
その言葉に気持ちが楽になったような気がしてマンガを描き始めた。
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