悩む

協議

「新従姉妹恋愛物語」を月刊で持ち込むか株式会社赤松碧波を設立して雑誌を掲載するかどうした方がいいかアシスタント6人を含めて話し合っていた。


どういう作品なのか説明しようとすると全員が知っていたため、割愛することが出来てスグに本題に入ることが出来た。具体的に話を描いている訳ではないが続きの構想は頭の中では描いていた。


それぞれのメリットとデメリットを挙げていく。


まず、株式会社のメリットとしては赤松碧波という名前で募集をすれば倍率がどれくらいになるのか計り知れないくらい募集がくると予想される。


その一方、デメリットとしては自分の作品だけでなくて他のマンガ家の作品を掲載する必要があり、どれくらい作品が届くのか不明。そして何作品載せれば利益が出るのかを考える必要がある。


次に月刊で持ち込む場合のことを考えてみた。

メリットとしては知ってる編集の方もいるし、別のマンガ家さんでも週刊と月刊を並行してやっている方もいるためスケジュール管理の仕方を聞くことが出来る。この点はとても大きいと感じている。


デメリットとしては週刊で圧倒的な人気を誇っている赤松碧波が月刊にまで進出すると太刀打ち出来ないと他のマンガ家たちが別の雑誌に流れてしまう。6人はそれを特に危惧していた。


両方のメリットとデメリットを出した上、考えていた。すると瑠那が手を挙げて意見を述べる。


会社を設立して雇うとなるとお金も時間もかかる。だから月刊で持ち込むべき。その点、月刊で持ち込む場合は同じ会社で部署が違うのと同じような感じで並行してやっているマンガ家さんたちもいるからそちらの方がいいのでは。


人気マンガ家がいて太刀打ち出来ないと言っているうちはダメ。連載を狙うなら人気マンガを押し退けるつもりでないとどこに持っていっても結果は同じ。


それを聞いていた碧波は思わず拍手をする。月刊で持ち込むことを決めたがまだ全て解決したわけではない。アシスタントさんをどうするか、ここがネックになっている。


アシスタントさんは学生が多く、長期休暇なら多少残ってもらうことも可能だが普段は中々そうはいかない。


週刊と月刊の両方をお願いすると休みが減って課題やレポートをする時間が減ってしまう。本業を疎かにしてまでお願いをすることは出来ないからだ。その上で6人に月刊もお願い出来ないから提案をする。


課題やレポートは授業の合間にするので大丈夫なので。イベントのスケジュール、そしていつまでに週刊、月刊はいつまでに仕上げるかを瑠那がやるので。

週刊と月刊、両方でテッペンを目指しましょう。


その言葉に頼もしいなと感じていた。


グループに

有給で休みの白翔をアシスタントさんたちに紹介をする。赤松碧波の従姉妹である黒木白翔、作中に出てくるのは名前を変えているものの北海道で実際に行った場所などを再現していることを伝えた。


本来なら週刊でやっている「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」を手伝ってもらっているだけでもありがたいがそれと並行してこれからは月刊で「新従姉妹恋愛物語」まで手伝ってもらうことになり、待遇を倍にしてあげたいと考えていた。


マンガ家のアシスタントさんは出版社の契約して給料が振り込まれる訳ではなく、そのマンガ家から支払われる。そのためマンガ家によっていくら支払われるのか異なってくる。そこで碧波は6人に尋ねる。


倍とまではいかないけどインセンティブでバイト代に上乗せするか、高い食事を食べるかだったらどちらがいいか。満場一致で美味しいご飯を選ぶ。


ささやかな気持ちとして家の食卓でご飯を一緒に食べたり、焼肉やお寿司など食べたいものをおなかいっぱい食べさせてあげることくらいはしてあげたいと考えていた。


帰り際、6人揃って碧波の作品に関われるなら無給でもいいと言ってくれて涙が出てきそうになる。それを聞いて改めて赤松碧波のアシスタントをやっていると胸を張って言えるマンガ家にならなければと実感する。


その日の夜、碧波と瑠那がどのようなスケジュールでやっていくかをビデオ電話で話し合ってグループラインで送る。


併せてこれからは遅くなるかもしれないから終電の時間を予め教えて。帰れなくなった場合はタクシー代を出すから領収書をもらっておいて。これは碧波のポケットマネーで補おう、自分のために残ってくれているのだから惜しまない。


新従姉妹恋愛物語描く初日、この作品のテーマを伝えてホワイト、ベタ塗り、効果線、ペン入れ、消しゴムかけは前作を参考にして欲しい。そのために当時の雑誌を出版社から取り寄せていた。


新従姉妹恋愛物語を描きあげることが出来て編集社に持って行っていく。月刊担当者と話し合いをして上に挙げて連載することが決定次第、その担当者から連絡をすると伝えられて所沢に戻る。


翌週、知らない番号から電話がかかってくる。

「今回、赤松碧波様の新従姉妹恋愛物語を担当することになりました黒木白翔と申します。改めて挨拶をさせてもらうので」


新従姉妹恋愛物語の担当がまさかの白翔。これは予想だにしていなかった。同じ屋根の下で住んでいるからこそ仕事場ではサラリーマンとマンガ家との関係、公私混同しないようにと気をつけていた。


初めての打ち合わせ、どこで打ち合わせをするのかと白翔からの電話を待っていると家で打ち合わせするから一旦帰るね。


終わったら他のマンガ家さんの所に行くからさ。そっちの方が週刊の「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」もすぐにとりかかれるでしょ。


碧波としてはそれが理想だがホントにそうしてくれるとは思っていなかった。ネームを見せてこのまま進めて欲しい。アシスタントさんとともに作品を完成させて白翔に託す。


新しく始めた作品の順位はどうしても気になっている。白翔からの電話で1位を告げられるとみんなで喜び、そのまま高級寿司を食べるために銀座に向かった。

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