作品のために
要望
アニメ化が決まって話が進んでいく中で碧波はある提案をした。
マンガ家にも声優さんにも人気の序列があるが人気だから起用をする、養成所に入りたてだから起用をしないといったことはなしにして誰でも応募出来るようにして公平にやって欲しい。
この作品を命懸けで描いているのでアニメでも観てよかった、また次が楽しみだと思ってもらうためには
いつもは寡黙な碧波だが河島さん、そしてアニメ関係者に必死に訴えていた。すぐ様なぜ声優にまでこだわるのかを尋ねられた。
目を見開いてこう答えた。
「マンガ家も声優さんも人気商売だから。たとえアニメ化が決まっても途中で打ち切りになる可能性がある。それと同じで声優さんも自分の思いを声で届けたい、その思いでやっていると思うので」
隣で聞いていた白翔もそれには納得をしていた。
どうして碧波が大人に必死に訴えかけているのか、それは人気声優で固めてしまってはオーディションと言ってもただの形。言わば出来レースと言われかねない。反対にオーディションで養成所に通っているまだ名の知れていない声優ばかり起用してはアニメファンからクレームが来てもおかしくない。その
誰にでもチャンスはあるよという意味を込めて
それで育成所にいる子だけ、ベテランだけになった場合は勝ち抜いてきた証としてそこから決めると考えていた。
だが碧波が書類審査から最終オーディションまで全てに立ち会うという訳にはいかない。
あくまでも本業はマンガ家のため、全てに参加出来ず最終オーディションでアニメ関係者と会うことが決まる。
どんな人が勝ち抜いてどんな声でセリフを読み上げるのかとワクワクしていた。
家に帰って事前準備として声優界ではどんな人が活躍をしていて注目をされている人は誰なのか、これから期待をかけられている若手などマンガを描く傍らで碧波と白翔は共同作業で調べていた。
大御所の人は有名なアニメにも出ているし、期待をされている若手でも主役をやっている。調べれれば調べるほど面白くて原稿を描くのを忘れてしまいそうになる日もあった。
このアニメの声優を務めて周りに誇れるような作品を手がけるのが自分の仕事。そう呟いてギアチェンジして仕事に取り掛かっていた。
逸材
チャンスは多い方がいいし、書類審査であっても途中の審査でダメでも何がダメだったか振り返ることが出来る。
それが次の糧になれば次に繋がるかも。弱肉強食と呼ばれる声優とマンガ家、通ずる所もあるから。
日にちが進み、碧波は原稿を落とすことなく描きつつもオーディションの
希望する声優さんがいれば今からでも推薦をすることは出来ると言われたが断った。
推薦や
自分の言ったことは貫き通さなくてはオーディションに参加してくれている声優さんに失礼だと感じていた。
最終オーディションのある日、終わってから打ち合わせをさせて欲しいと電話で話した。
いつも決まった曜日でやっているが配役等を決めたあとで作品を改めて見つめ直したいからとお願いをすると快く引き受けてくれた。そして前日までにネームを描き上げた。
遂に迎えた最終オーディション、会場に入る碧波と傍らで見守る白翔と河島さん。
まだ誰も来ていないのに物々しい雰囲気に包まれていた。それを見て人生をかけてやってきたからだと実感していた。
まず作者の碧波が全員に述べた。
皆さんよくここまで勝ち抜いて来ましたね。キャリア関係なくどの役に選ばれたとしても自覚と責任を持って務めるように心がけてください。
ナレーションが注意事項を伝えた。
総勢10名が最終オーディションに残ってそれぞれのキャラクターの配役が決定をする日。
作者である紅松碧波がキャラクターを増やした場合はその都度オーディションで決める。では冊子を配布するので呼ばれた人からお願いします。
「1番、
アニメ関係者と碧波はプロフィールを眺めつつ始まった。
かわいらしい声で主人公の杏子、そして子グマのリナちゃんや他の役でもどの役でもいけそうな声だなと主人公の杏子役ですらそれを感じでいた。
2時間に渡る長丁場で全員が終えた。
碧波は頭を悩ませていた。それは誰がどの役をやってもいいと思ってしまうほどクオリティーが高くて甲乙付け難いからだ。とは言ってもここではふるい落とすわけではなくどの役をやってもらうかだった。
配役は碧波から発表された。
「キョウコと子グマのリナちゃん物語」主人公の石岡杏子役には川越晴香さんに務めてもらうことにする。その後も役を発表していって最終オーディションを終えた。
ひと息つこうとした所だが次は本業の打ち合わせでファミレスに向かって話し合いをする。みんな甲乙付け難いくらい上手くて配役にスゴく悩み抜いたことを伝えた。ひとまず今まだ通り描いていくことにしたい。
それならこのまま進めていこうといつも意見を最優先してくれて助かる。単行本が出てもアニメ化になっても1位に君臨し続けたい。この作品は面白いと自分に言い聞かせていた。
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