リスタート
連載に向けて
碧波は編集社にて週刊でやって行くことを決めた。白翔は中学生ながら一緒に働こうとスカウトをされる程の眼力だと惚れ込まれていた。
今は隣にいるマンガ家赤松碧波「杏子と子グマのリナちゃん物語」を手伝うことを考えていて作品を有名にしたい、それだけしか考えていなかった。
読み切りでも描いたことも含めつつも新連載に向けて河島さんと白翔と打ち合わせをしてやっていこう。よりよい作品にしたい気持ちは強くいる。
最初に碧波はネームを持っていくとあるところを指摘された。
「タイトルは杏子と子グマのリナちゃん物語でもいいと思うけど、キョウコとは何者なのか?それをハッキリさせないと、苗字は何か。自然豊かな場所に住んでいるのか?街に住んでいるのか等意見が挙がった」
ひと口に北海道と言ってもとても広い。旭川や函館、札幌ような都市もあれば空港があっても
そして河島さんに指摘されたキョウコの苗字はどうするかと頭を抱えていた。
それを聞いた白翔はスマホで何かを調べている。
どんな苗字がいいか幾つかメモ帳に書いて渡した。
それを踏まえ、碧波は小声でキョウコと連呼しているが中々ピンとこないような顔をする。
決まらないなら次までに考えておいて、河島さんがそのように言おうとすると白翔が手を挙げた。
河島さん、編集社の住所を教えてください。
「東京都豊島区……ストーンヒルズ5階」
分かるようにと名刺を見せると碧波の頭に電気が走ったように何かが浮かんだ。
ストーンヒルズ?ストーンは石、ヒルズは岡だよね?石岡キョウコ、キョウコは杏に子。石岡杏子ってどうですか?
河島さんは白翔に小声で尋ねる。
碧波ちゃんはいつもこんな感じなの?このタイプのマンガ家さんは初めてなんだけど……。
正常運転です、いつもの事でこのタイトル決めた時も今みたいな感じだったのでと笑顔で答えた。
いつもなら打ち合わせに数時間かかるところ、今回は1時間足らずで終わって飲食しながら談笑をしていた。碧波にとっては談笑も大切な時間、談笑ですらメモを取ってそこから話を広げようとしている。
時間が許す限り多くの時間を割いてもらって打ち合わせの他に談笑する時間を確保してもらえるようにお願いをする。
何度もネームを描き直して確認をしてもらって補うところはないかとアドバイスを求めていた。
ブーム到来
河島さんと話し合った結果、タイトルを変更して連載と表紙になることが決まった。
マンガ家赤松碧波、キョウコと子グマのリナちゃん物語を改めて「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」として新たなスタートを切った。
久しぶりの連載で1位を取りたいと言うより、まずは速報で順位に乗って発売号でひとケタ順位が取れれば嬉しいと控えめで謙虚な姿勢でいた。
いつもながら他の作品も面白い。けど碧波の作品も負けてないし遜色ないと睨んでいた。かわいいキャラクターだからグッズ化したらスゴいなと感じていた。
速報が発表される日、河島さんから電話がかかってきて1位になったと知らされた。
それだけでなく、2位の作品とダブルスコアで連載始まって以降で速報の最高得点をたたき出したと声から喜びが伝わる。発売号では1位で2位とさらに得点を広げるトリプルスコアとなっていた。
碧波は客観的に作品と得点を聞いて北海道内だけでなく少なからず日本中に赤松碧波と作品が知れ渡った。そのような気がしていた。
だが実際は日本国内で留まることはなく、海外でも知れ渡っている。日本国内にいる人が全て日本人ではなく、外国人がそれぞれの国に作品やキャラクターについて翻訳してネットに上げている人がいた。
エゴサーチをしない碧波の代わりに白翔がネットで調べていた。すると紙だけでなくて電子でも読みたい、翻訳して各国の人たちにも読んでもらいたいと嬉しいコメントが届いていた。
中には誹謗中傷するコメントもあるがそれはスクリーンショットをして名前を晒す。それでも改善されなければ被害届をだしていた。
週刊でマンガを描いている碧波がそんなことをしている時間などない。
英語もままならない白翔には荷が重く、出来たとしてもいつ出来るのかと不透明な状況である。とりあえず困った時は河島さん。いつも頼ってばかりで申し訳ないと思いつつ電話をする。
もしもし河島さんですか?黒木、黒木白翔ですがいま電話大丈夫でしょうか?
すると白翔君から電話するって珍しいね、電話は何だったか尋ねられた。
「ネットで石岡杏子と子グマのリナちゃん物語が話題になっていて電子でも読みたい、翻訳して読みたいという意見がありますが碧波はそんな時間ないし、自分は英語すらままならないので相談しようと考えていて……」
なるほど、そういう事ね。編集社の方にも同じようなコメント来ているけど電子は扱ってないし翻訳してとなるとその分また人を雇わなきゃいけないから今のところそれはないかな。単行本やアニメ化したら話は別だけど。じゃあ電話切るね。
現時点ではないとしても河島さんが言う通り、単行本やアニメ化になればそれぞれの国の人たちにも楽しんでもらえる機会もあるのか。
マンガ家でもなければ編集社の人でもない中立の立場だから好きなことが言えると感じていた。
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