第14話

 ザーザーと雨が勢いよく降っている。三日連続の雨にそろそろ嫌気がさしてきた、六月の梅雨。

 

 「・・・平和だな」

 

 傘をさして学校へと登校中、ぼそっと呟いた。

 忠光と莉奈の二人から恋愛相談を受けていたが、忠光が公式試合に勝って一気に落ち着いた。

 忠光は夏の公式大会へ向けて、練習に忙しくしているのは当然だし、莉奈もそれを知ってか、特に行動を起こすと相談されなかった。

 

 「冬也。おはよう」

 

 後ろから声をかけられ振り向くと赤い傘を差した莉奈が立っていた。

 

 「・・・お洒落だな」


 「いい傘でしょ。お気に入りなの」

 

 二人で学校へ向かいつつ、莉奈に尋ねる。

 

 「最近、何も話さないけど。どうなの。その忠光と付き合う作戦は」


 ここで莉奈が忠光の事はもう諦めたと言ってくれないかと僅かな期待を込めていた。もし、諦めたと答えてくれたら、その時は。


 「まだ、思いついてないかな」


 「そっか」


 まだ、思いついていない。が、考えてはいる。つまり、諦めた訳ではないのか。

 

 「そうだ。冬也には妹がいたよね」


 莉奈は何かを思い出したように、いきなり妹の話をしてきた。


 「え。いるけど」

 

 「私、春ちゃんに頼みたい事があって」

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