第13話

 「えっと。本当にごめんなさい」

 

 あと少し頭を下げるとテーブルにぶつけてしまう。それぐらいに深く。深ーく頭を下げた。

 

 「いいよ。そんなに気にしてないし。ほら、佐藤さん頭を上げて、他にお客さんがいるんだから」

 

 ファミレスにて。

 テーブルに向かい合って座る彼、冬也の親友である忠光は平謝りする間抜けな女。私、莉奈を許してくれると言ってくれた。

 

 「冬也から聞いたの。今、大事な時期なんだって。それなのに、巻き込んで」

 

 「そんな気にしないでよ。俺だって巻き込まれたおかげで冬也に春ちゃんの事を聞こうって思えたんだから」

 

 私は意を決して幼馴染、冬也に告白するつもりでファミレスへと呼び出した。

 さぁ。今から告白するぞ。っというタイミングで。私、冬也の前で何も出来ていないじゃないかと。女らしい一面を見せた事あったけな。今のままで告白しても断られてしまうんじゃないのか。もし、告白を断られれば、話しづらくなってしまって・・・それで、それで。

 一つ不安が生まれ、そこからドミノ倒しのように別の不安を考えてしまって。気づけは、誤魔化していた。

 ふと、頭に思い浮かんだ。私の事を好きではない人。


 「実は、私、忠光君の事が好き」

 

 咄嗟にそう言ってしまったのである。

 何故、忠光君だったのかというと、私は知っていたのだ。忠光君が冬也の妹である春ちゃんに片思いをしている事を。冬也の幼馴染である私なら、春ちゃんと面識があるのではないかと思われ、忠光君から相談を受けていたことがあったからである。

 実際の所、春ちゃんと一度も話した事は無く力になることは・・・そういえば、私、一度、冬也から紹介されたことがあったような気が。


 『今日から妹になった――』

 

 「それで、いつ俺に告白するの?」

 

 私が幼い頃の記憶を掘り起こしていると、忠光君から声をかけられ、掘り起こすのを止めた。


 「うーん。もうちょっと、女子力を冬也に見せつけてから」

 

 最終的な話になるが、私は忠光君に告白する。それはもちろん振られる前提での告白。つまりは、春ちゃんに負け落ち込んむ。そしたら、きっと冬也は慰めてくれるだろう。慰めてくれているタイミングで冬也に告白すれば・・・断りずらいよね。だって、もし冬也が私を振ったら短時間で二回も振られるんだもん。しかも、自分の妹のせいで、一度目の告白が失敗となればなおさら。我ながら完璧な計画である。

 この完璧な計画の成功確率より上げる為に、もっと必死に忠光君の事が好きなんだと冬也にアピールして、振られた時により慰めて貰えるようにしつつ、忠光君と春ちゃんの仲を取り持たなければならない。もしかすると、私の魅力に気づいた忠光君が心変わりしない様に。

 

 「次は私の方が手を貸すよ」

 

 こうして、次は忠光君と春ちゃんの仲を取り持つ作戦を考えるのであった。

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