第3話

 計画名「ドキドキ大作戦第一弾」

 発案者「佐藤 莉奈」

 

 それではこの計画を簡単に説明しよう。

 計画は三つのステップに分かれている。


 ステップ1

 

 俺が忠光の好物をさり気なく聞く。

 

 ステップ2


 莉奈がそれを作る。

 

 ステップ3

 

 俺と忠光が昼食を取っている中、莉奈が一緒に食べてもいいかと尋ね。莉奈も一緒に昼食を食べる。食べている中で、俺が「それおいしそうだな。これって確か、忠光の好物だったよな」などと言い。誘導するという流れである。


 「忠光。お前の好物ってなんだ」


 「オカンの作るカレーかな」


 はい。ドキドキ大作戦第一弾終了!!

 母の作るカレーに勝てるはずがない。


 「わ、私だって、美味しいカレー作れるわよ」

 

 忠光から聞いた情報を莉奈に伝え、この作戦は失敗だと言うと莉奈は反論してきた。

 違うんだ。例、美味しいカレーを作ったとしても、それでも母を超える事は出来ない。カレーという食べ物は自分の家、母のカレーが一番美味しいのである。

 

 「・・・分かったわよ。じゃあ、二番目に好きな食べ物を聞いてきてよ」


 「分かった」と返事はしたものの、何と幼馴染遣いが荒いのだろうか。

 若干の不満を莉奈に対して感じつつも、好感度を上げる為に従順に従った。

 

 「この前、母親が作るカレーが一番を美味しいって言ってたけど、その次に美味しいと思う料理ってないのか?」

 

 学校終わり、二人で下校中。さり気なく忠光に尋ねた。

 

 「うーん。食べ放題の焼肉かな。無限に食べれるのが良い」

 

 「(キツイな。弁当で持ってくるの無理じゃん)」

 

 このまま莉奈に言っても、また、もう一回、その次を聞いてこいって言われるような気がする。

 

 「・・・なんで、俺の好物をそんなに聞いてくるんだ?ま、まさか。春ちゃんが俺の為にご飯を作ってこようとしているのか。・・・来たな。俺の時代」

 

 半分正解で。半分不正解である。


 「いや。違う。・・・まぁ。うん。なんとなくだ」

 

 とりあえず、お茶を濁す様に答えると。

 

 「手料理なら何でも良いから」

 

 「・・・それは手料理は何でも好きって事か?」


 「そういう事」

 

 ぶ、無事ステップ1達成?

 

 「と、ところでさ。春ちゃんと会わせてくれる件ってどうなってる?」


 言いずらそうに忠光が尋ねて来た。

 

 「・・・順調だよ・・・」


 俺の答えを聞き、忠光は喜んでいたが、実際は嘘である。

 同じ家に住んでいるはずなのに、春と会える機会が少なすぎるのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る