第4話

 *  *学校からの帰り道*  *

 忠光から聞いた情報を莉奈に伝えた。

 

 「分かった。明日、手料理を持って学校に行くから計画通りにお願いね」

 

 そう言って笑顔で自分の家へと帰る莉奈。そんな莉奈を見送ってぼそっと呟いてしまった。

  

 「・・・俺の分もあるかな」

 

 明日、莉奈の手料理を食べることが出来る、忠光を羨ましい。と思いつつ自身も家へと帰宅した。

 すぐ後ろで、そのつぶやきを聞かれていたなどつゆ知らずに。

 *  *すぐ後ろ*  *

 「・・・俺の分もあるかな」


 そんな、おにぃの呟きを聞き。


 「(二人は付き合ってない・・・よかったぁ)」


 私、春は安堵から「ふー」と息を吐きだして、自分の胸に手をやった。 

 中学校が終わってすぐに、おにぃの様子を見る為に高校まで行き、こっそり後を付けていたかいがあった。

 おにぃが家に帰ってから私も家へ帰り、自分の部屋へと入ってから気づく。何が「(よかったぁ)」なのかと。

 おにぃと莉奈。二人が付きあっていた方が私としてはよかったのだ。

 二人が付き合っているならと、おにぃへの気持ちに区切りをつけようとしていた。区切りをつける為にわざわざ、走ってまでおにぃの高校に向かったのに。結果は・・・。

 

 「ただいま。・・・珍しい。春。料理してるの?」

 

 仕事から帰って来た母が、台所に立つ私に物珍しそうにそう言った。

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