第2話
季節は春。学年が一つ上がり、高校二年生へとなった。
春と言ったら何を思い描くであろうか。
「兄貴。キモイ」
と、間違えた。今のは妹の春だ。
妹の春とは、仲が少し。いや、かなり悪い。幼い頃はあんなにも慕って「おにぃ」って呼んでくれていたのに。俺が高校に入学、春が中学に入学したくらいだろうか。急に二人の仲は冷めてしまった。
こんなものなのかと、妹がいる友達に尋ねてみるとむしろ仲が良かった時がある方が珍しいと言い返された。
「キモイ。無視するな!」
「・・・は?!」
自分の部屋で勉強中。
高校二年生へ進学して、少し難しくなった課題から現実逃避し、季節の事を考えていた。そんな時に、俺の部屋に入って来るなど一年ぶりくらいになるであろう春が来ていた。
「お、ごめん。春。何か用?」
久しぶりに春の方から声をかけられたなと思いつつ、気づいていなかった事に謝り、春の話に耳を傾けた。
「・・・あ。・・・やっぱりなんでもない!!」
部屋を勢いよく飛び出て行ったと思えば、春は力いっぱい扉を閉め、「バン!」と大きい音が鳴り響いた。
なんの用だったのか。一切、分からない。
* *春の部屋* *
「うぅぅ!!」
私―春は、ベットに飛び込み枕に顔を埋め、うめき声を出していた。決して、隣の部屋にいる『おにぃ』には聞こえない様に音量は最小限にしてだ。
「はぁー・・・ふぅ・・・はぁー。心臓がまだバクバクしてる」
深く深呼吸をしながら、自分の胸に両手を当てる。すると、自分の鼓動がハッキリと分かる程に力強く早く動いていた。
おにぃと話が出来なくなったのは中学に進学して、すぐになる。
私に思春期が訪れたのだ。
親の話はうざく感じる様になったし、勉強をするのに意味を感じなくなった。
けど、親に対しての生活態度は変わる事はなかったし、寝る前に予習復習を行い、しっかりと勉強を行っている。それは、おにぃにみっともない姿を見せたくなかったからだ。
初めは、なんとなくだったが。なんでそう思うのかを考えた時に私は自分の気持ちに気付いてしまった。私はおにぃに恋しているんだと。
自覚してからは、まともにおにぃの顔を見れなくなってしまった。自分の気持ちを隠すように冷たい態度を取るようになった。
おにぃと私は兄妹。決して、この恋は実る事はない。
そう思うと、自然と瞳に熱い液体がにじみ出て。胸が痛かった。だから、少しでも胸の痛みを楽に出来るように、おにぃとは関わらない様にしていた。だったのだが、昨日。おにぃの幼馴染である、莉奈さんがおにぃを呼びに朝から家に来た。それを見た私は、直ぐにピンときてしまった。
「(もしかして、おにぃと付き合ってる?)」
気になって、気になって、最近ではぐっすり寝る事も出来なくなってしまった。
なので、白黒はっきりさせる為に、久しぶりにおにぃの部屋に行ったのだったが・・・結果は、なんの成果もやる事は出来ませんでした。
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