第18話 正しい魔法の使い方

 二人にすぐに気がついたのはモニクだ。

「駄目ですよ、2人とも戻りなさい」

 ランは首を横に振り、魔法弾が結界に弾かれる音に負けないように大声で言う。

「アレックス!ジゼル!そいつを結界の中に引っ張り込んで!策があるの!」

「ああ!?」

「なんでよ!?」

 2人は何言ってるんだ!といった顔で振り返るが、二人の聖女の顔を見て黙る。

 それは何かを決意したような表情だ。

「…失敗すんじゃないわよ」

「お、おい」

 渋るアレックスをジゼルが叱り飛ばす。

「うっさいわね!聖女の言うことが聞けないの!?」

 この際もう聖女でいいや、とランは笑って頷いた。

 仕方なさそうにアレックスは前を向く。

 シャールは油断なくロッドを構えた。

「ほら、魔法使い!こっちに入れてあげるわよ!!」

 ジゼルが挑発をしながら手を結界外に突き出し、魔法使いの腕を取る。

 続いてアレックスもジゼルに加勢して、訝しげな顔をする魔法使いのもう片方の腕を取った。

『…後悔するぞ?』

 薄く笑いながら魔法使いが抵抗もなく引きずられる。最初から入るつもりだからだ。

 その金と紫の目は、目の前の二人ではなく、ランとセイを見据えていた。

「か、かたいわね!」

「もうすぐだ!」

 結界はゴムのような弾力があるようだ。壁の小さな隙間を無理に頭をねじこんだようになっている。

 魔法使いの顔が痛みに歪みながらこちらへ現れ始めた。

「……今だよ」

「はいっ!」

 セイは上司に作って貰った杖を収納から出して、握りしめる。そして魔力を練り始めた。

『?………っ!』

 意図に気がついた魔法使いが逃げようとするが、がっちり掴まれて解けない。

「逃げられやしないわよ!」

「…そうですね、ジゼルは何度言っても鍛えませんでしたしね」

「今言わないで!」

 魔法攻撃が強いジゼルだが、護身用に体術も習えと散々モニクに言われてたのに、サボって鍛えなかったのだ。そのため持続的な筋力が全くと言っていいほどない。

 元騎士のアレックスに、オークのジゼルの腕力に叶うはずもなく。

『う、く……<サンダーボルト>っ!!』

 魔法使いは魔法を使おうとするが、結界にゼリーのように包まれていて放てないようだ。

「あともうちょっとよ!」

『やめろ!離せ!』

 とうとうランが願う通りに、魔法使いが結界内へぬるりと入った瞬間に、ゼリー状の結界が剥がれる。

「…<浄化>!!!!!」

 セイが魔法使いに向けて制御度外視の浄化魔法を唱えると、辺りに昼のような明るさがほとばしった。

「うわっ!?」

「す、すごい…!」

『ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!??』

 魔法使いの体は真っ白な体に包まれて、数十秒、苦しみにもがきゴロゴロと転がるが、やがてつっぷして動かなくなった。

 静まり返る場に、ジゼルがハッと気がつく。

「え、ちょっと…アタシの体、ダイジョーブ?」

 ジゼルが近寄り、つつくと、ビクリと反応して上半身だけ起き上がる。

 皆がバックステップで距離を取るが。

「……」

 起き上がった魔法使いの目は、金と紫ではない。青い瞳となっていた。

 ジゼルが見ると、ジゼルもまた見返す。

(鏡、みたい)

 その鏡の中自分は、いきなり土下座をした。

「!?」

「すみません!!!この体の持ち主の方ですよね!?」

 思わずギョッとするが、言い返す。

「そうだけど、返してくれる!?」

「もちろんです!!」

「はぁ!?」

 ジゼルは困惑してモニクを見るが、当然、彼女も唖然としたままだ。

 ランは首をひねった。

「うーん??」

(想像してたのと、ちょっと…いや、だいぶ違う)

 ランはセイにたずねる。

「ねぇ、浄化の意味って…知ってるよね…?」

 セイは歯切れ悪く答えた。

「その…対アンデッド魔法とは習ったのですけど…実際はよく分かって無くて…」

 実物を見たことがないのだ。当然である。

 その視線の先は、土下座する魔法使い。

「浄化魔法唱える時に、何を考えました?」

 シャールも尋ねてきた。彼も想定外の結果らしい。

「ええと…アンデッドは生者を憎んでいると勉強しました。そしてあの方も悪い人って聞いたので、怨念がなくなればいいと…善い人に…優しい人になーれって…」

「ぶっ」

 アレックスが吹き出しかけたが手で抑える。

「やっぱり違いました!?…急でそれしか、思いつかなくって!!」

 セイが狼狽し始めたので、シャールが慌ててフォローする。

「いえ、とても良いと思います」

 しかし彼も肩を震わせていた。

 縋るようにセイがランを見る。彼女は笑っておらず、真面目な顔で親指を突き出した。

「グッジョブ!!」

「本当ですか〜?」

「マジマジ」

 しかし内心は舌を巻いていた。

(アンデッドを…悪い霊を消滅させる、じゃなくて、心を掃除する感じかぁ)

 という事は、セイはライトノベルなどは読むがRPGゲームはやってないな、と思った。

「あの状態で、大丈夫です?」

「逆にいいんじゃないかな?」

「ええ。魔法使い本人がいるから、他の人たちも解放出来る」

 そうシャールが言うと、モニクもハッと我に返ったようだ。

 皆で平身低頭な魔法使いを取り囲んで、指示を出し始めた。


◇◇◇


 その後、魔法使いによって無理に集められたオオカミたちは隷属の魔法を解かれると、結界と浄化魔法を目の当たりにしていたせいか、慌てたように散って行った。

 そして悪い魔法使い…シャンタルと名乗った魔法使いは、なんと女性だった。

 この町を襲ったのは、聖女が二人揃ったから体をコレクションのために強奪しよう!…だったらしい。

 しきりに自分のしてきた事が恥ずかしい、と言いながら、レーベの町から割と近くにあったアジトへ案内してくれた。

「こんな近くにあるとは…」

「近場にアタシたちを捨てんなよ、もう!」

 モニクが呻いて、ジゼルが喚いている。思わずアレックスとシャールは同情した。

 なお、ここまでは風魔法でスーイと空を飛んできた。相当優秀な…いや、規格外の魔法使いのようだ。

 岩の小山を彼女が叩くと、鉄の分厚い扉がゴゴゴ…とせり出してくる。

「どうぞ」

(気軽に言うな…)

 アレックスは思わずためらう。ニコニコと微笑むシャンタルが恐ろしい。

 しかし入らねば双子の体が戻らない。4人は意を決して中に入る。

 中をランが見たら、かなり異端で高度な実験室という事が分かっただろう。

 巨大な水槽や管のある硬質な部屋を通り過ぎると、壁一面に大きな試験管が並べられた部屋へ辿り着く。

(…!)

 試験管の全てではないが、人間が幾人も入っている。

 モニクはそこに自分の体も見つけた。

「少々お待ち下さいね」

 シャンタルはそのうちの1つを選び器具にセットして、隣の装置に自らが入った。

 使い魔らしき太った猫がボタンを押すと、シャンタルの入っている装置が何かに満たされて光り輝いた。

「…こっちが本体なのか?」

「おそらくそうだろうけど…人間では、ないね」

 元は人間だったように見えるが、いじりすぎて分からない。

 金色の髪からは黒いうさぎの耳が生えているが、黒い尻尾は獅子に見える。背中にはコウモリのような黒い羽があった。開いた目は、両方とも金色。

 そしてキメラのシャンタルは飛んで装置を出てジゼルの体を取り出すと、オークのジゼルを手招きする。

「な、なによ…」

「魔法でこちらの体へ入れ込みます。この装置は私専用なので」

「え?」

 モニクの体も試験管から取り出し、ツヤツヤに磨かれた石の台に二人を横たえると、シャンタルは魔物の姿の双子の前に立ち人差し指を軽く振った。

「!!」

 それだけで、双子の…魔物の体の姿が掻き消えた。

(いや、違う。玉になっている)

 空中に小さなピンク色の玉が浮かんでいる。

 シャンタルが1つを取ると、台の上に寝ているジゼルの上体を起こして口を開けて放り込み閉じると、頭をガンッと殴って飲み込ませた。

「おい!!」

「大丈夫です」

 その言葉通り、ゲホッと声を出して今度こそ人間のジゼルが呻いた。

 むせている彼女を放置して、同じようにモニクにも玉を飲ませる。

「ゴホッ!!」

 同じようにむせながらモニクが目を開く。

「ちょっとアンタ!!!もうちょっとマシなやり方ないの!?」

 咳き込みが少し落ち着いたジゼルが台から下りて、モニクの背中を撫でる。

「すみません、今まで戻したことがないんで他に方法が思いつかなくって…。あ、念じればいつでも魔物の体に変化できますよ!」

 そう、笑顔で言ってきた。

「アンタねぇ!!!それ元に戻したって言わないわよ!?」

「待て、落ち着け!」

 怒りながらシャンタルの胸ぐらを掴むジゼルをなだめながら、アレックスはついてきて良かったと思った。

「ランを置いてきて正解ですね…」

 そう呟いたのはモニクだ。聖女である二人を騒動の後に町から出すわけにも行かずに、説得して置いてきたのだ。

 こんな所を見せたら、また心配を掛けてしまいそうだと思った。

 試験管の中にある”他人の体”は残り8体ほどで、もちろん元に戻せるという。

「魔眼、治しましょうか?」

 アレックスの目を見たシャンタルが提案するが、彼は少し悩んでから言った。

「…いや、魔力が視えるこの目に、助けられたことがある。…このままでいい」

 シャンタルは目を診ながら言う。

「そうですね。周囲の命を吸って生き長らえる死神百足が居なくなっていますから…反動であと200年くらいは生きますよ!」

「なんだと!?」

 アレックスは額に青筋を浮かべてシャンタルの胸ぐらを掴み上げる。

「殺しちゃ駄目ですよ!!他の人が戻せなくなる!!」

 今度はシャールが慌てて止めたのだった。

 


 すったもんだの末、シャンタルのアジトは結界があるので誰も近寄れないから、と言うのでそのまま町へ一旦戻る事にした。時刻は夕方だ。もう少しで暗闇に包まれる。

 今か今かと待っていたランに、ジゼルとモニクは飛びつかれた。

「美人!!」

「第一声が、それなの!?」

「…他に言うことはありませんか」

 しかし本当に美人なのだ。シャンタルがコレクションに入れたのも頷ける。

 二人の姿は装備も含めて当時のまま。

 ジゼルはピンクブロンドの髪を早速ポニーテールにして、モニクはお下げにして両側に垂らしている。

 成分のよく分からない、しかし魔力がたっぷりと入った液体に浸かっていたからなのか、年を取ったようには見えなかった。

 その後ろにいるのはシャンタルだ。

「…ついてきちゃったの?」

「はい」

 モニクは心配そうな表情だ。

 町の外で空を飛ぶ魔法から降ろしてもらい、そのまま別れるのだと思っていたら歩く面々の後ろをついてきてしまった。

「まぁ、おとなしいっちゃおとなしいんだけどさぁ…」

 ジゼルも微妙な表情を浮かべて言う。その視線を感じたのか、シャンタルが動いた。

「あ!あれ、修理しますね」

 彼女は壊れた壁を見て、サッと手を振ると時計の逆回しのように崩れた壁が元通りになる。

「「「えっ!?」」」

 これにはその場にいた全員が驚いた。

 こういう魔法があるの?とジゼルに目線を向ければ、彼女はブンブンと首を横に振った。

(ええ…巻き戻しスキル…?)

 むしろ彼女のほうが転生者でチートなんじゃ?とランは思ってしまった。

 セイももちろん、目を見開いて驚いている。

「……」

(帰らないね、この人)

 シャンタルは壁を修理したあと、町を興味深げに見ている。

 なんだなんだと通る野次馬も珍しいようで、じいっと見ているくせに、相手が彼女を見ようとすると慌てて目をそらしていた。

(……あー、もう。モジモジしてるよ、この人…)

 なんとなく、ランは気がついてしまった。

(ただの、ヤンデレだこれ。寂しんだ)

 勤めている会社にもいた。人と話すのは怖いと言うのに構ってくれないと沈み込むタイプ。

「どうしたの?ラン」

 額に手をやったランを見てジゼルが心配するが、大丈夫と言ってシャンタルへ近寄る。

「あのさ…一緒に、ご飯食べる?」

「ラン!?」

 皆が一斉にそちらを見るが、シャンタルは驚いて目を見開いたあと、モジモジしつつ頷いた。

(はぁ…昔になんかあったんだろうなぁ…)

 最初から悪い人などいない。

「こっちにね、食堂があるんだよ」

「は、はい。知ってます…」

 手を繋いでみると、全く逃げないどころか、ものすごく照れている。

 ジゼルとモニク、そしてアレックスにした行いは許せない事だが、どうにも憎めなくなってしまった。

 そのまま黒鹿亭へ戻ると、待ち構えていたハリーとハリソンに迎え入れられる。

 食堂は臨時休業になっていた。

「ごめん、遅くなりました」

「いいってことよ!警鐘が鳴って、客もいなかったからな」

 ハリーは笑いながらキッチンへ入り、準備していた食事を仕上げにかかる。

「なんか…毒気が抜けるっていうか…」

 ブツブツ文句を言いながらジゼルも当然のようにキッチンへ向かい、ハリソンがテーブルセッティングをし始める。彼もいつも以上ににこやかだが、双子への対応は変わらない。

「意外と、変わらないもんだな」

 もっと驚くかと思ったとアレックスが呟いている。

「言ったじゃん!中身だって」

 ニコリと笑って言うランの頭に、アレックスはぽんと手を置いた。

(コイツも見た目では、わからなかったか)

「…そうだな。本当に」

 いくつかテーブルをくっつけるとランは隣にシャンタルを座らせた。念の為、アレックスと挟む形だ。

 セイと護衛騎士も同じ卓についてくれた。

「モニクは…あれ!?うそ!?」

 見ると、モニクはまたピンク色のコボルトの姿に戻っていた。

「人間にもなれますよ。…視線が高くて落ち着かないので、少しこちらの姿でいます」

「え、ええ???」

「あ、あのー…」

 シャンタルがその事について補足する。

「魔物の身体が魂に馴染んでいたので無理に引き剥がさず、そのまま入れることにしたんです、エヘヘ」

「笑う所…?」

 ランはツッコミを入れたが、モニクは気にしていないようだ。普通にお茶を飲んでいる。

 確かに130センチほどから、急に160くらいになった。ジゼルは2メートル越えの巨体から縮んで一般的な女性の体格になり、キッチンの台もちょうどよくなったせいか嬉しそうだが、モニクは少し変化が大きい。

(それならいいけど…って、いいの??…まぁ、本人がいいなら、いいか…)

 ランは無理やり納得する事にした。

 そのまま食事の支度が出来るまでシャンタルの身の上話を聞いてみる。

「私は、生まれた時に金の…この目を持って生まれたんです」

 彼女が生まれた土地では、”金の髪、金の目は次期魔王。災いを起こす者”という伝承があり、目を恐ろしがった親から捨てられ、森で薬師の老婆に拾われ懸命に生きていたが…。

 その魔力の高さから噂が広まり魔女と呼ばれ森を追い立てられ、人恋しさと寂しさと憎悪をつのらせていく内に、この体が駄目なら別の人の体に入ればいいのでは?と考えてしまったらしい。

 アジトを作りそこへ籠もって随分と長い年月を費やしました、と話した。

「外に出たら風景が変わってて驚きました!」

 その親は?と聞いたら1000年以上前ですから、もう生きてないでしょうねとあっさり言われた。

「魔導文明の、生き残りか…」

 そうシャールが呟いていた。

「はぁ…なによ、それ…周りが悪いパターンじゃん…」

 ハリーにキッチンから追い出されて、途中から会話に参加していたジゼルが諦めたようにため息をつく。

「寂しかったら声をかけなさいよ。…話くらいは、聞いてやるから」

「ありがとうございます!」

 さっきまでその姿だったのに、ジゼルに感激するシャンタルだ。

 その後に出てきた食事も、涙を流しながら美味しい美味しいと食べていた。

 皆の疑わしげな視線も、不憫な子供を見る目に変わっている。

(拍子抜けだなぁ)

 冒険者ギルドを立ち上げる目的だった元凶が、目の前に居てホッとした様子でお茶を飲んでいる。

 チラリと斜め前にいるセイを見ると、目が合った。

「浄化スキル、すごい効果だねぇ」

「え?ええ…はい」

(うんうん。聖女の浄化って考えればいいんだ)

 召喚された異界の聖女の浄化なのだ。効果がとんでもないと思えば、目の前の現象に納得出来る気がする。

 しかし思考を読んだようにセイは言った。

「聖女じゃないですからね!?」

「わかってますって」

 分かっていない風にランは答えて笑った。

「…で、冒険者ギルドはどうするんだ?」

 アレックスが問う。

(そう思うよねぇ)

 ジゼルとモニクの仇を探すつもりだったが、もう解決してしまった。

「やるよ。…リサーチしたけど、けっこうみんな、待ってくれてるみたいだし」

 子沢山農家の長男次男以外や、女性、仕事にあぶれた男性などから、まだ認可下りないの?としょっちゅう聞かれている。

 アレックスの部下たちだって、やる気満々なのだ。

「良かった。これで辞めますと言われたら、エドワードにどう説明しようか悩んでいたところです」

 シャールが肩をすくめて言う。

「そうだねー。辞めるなんて言ったら、超怒られそう」

「…大丈夫ですよ。エディは懐が広いですから」

 モニクがこの場にいないエドワードを養護するように言う。

「エドワード?」

 シャンタルが聞き返す。

「冒険者ギルドの、パトロン」

「冒険者…ギルド???」

 更に質問される。説明すると、目が輝いているように思える。

(これはいっそ、仲間に…職員側に引き入れるか…?)

「受付嬢でも、やってみる?」

「え?」

 顔の造形は、悪くない。むしろ目がパッチリしていて17歳くらいの可愛い姿だ。

 角やウロコなど禍々しそうな物がところどころにくっついてはいるが…遠くから見ればうさ耳と尻尾とコウモリの羽だけだ。髪は他にもいる金色だし、今の時代、金の瞳は珍しいが紫に比べたら差別はない。

 何より、とんでもない技術を持った魔法使いなのだ。国に知らせれば実験台になるか、良くて幽閉かもしれない。そんな事になったらまた元のシャンタルに逆戻りしそうだ。

(それはちょっと可哀想だし、自分がそうなったら嫌だ)

 ”同じ釜のメシを食った仲”という言葉がランの頭の中に浮かんでいた。

「冒険者ギルド。職員を探してて、どうかなって思って」

 ギルドの仕事や受付でやることなどを説明すると、顔が紅潮してきた。

「…やります。お仕事、やらせて下さい!魔物素材ならとっても詳しいですよ!!」

「わ、わかった。じゃあもうちょっと進んだら頼むんで座って!」

 鼻息荒いシャンタルをアレックスが物理で押さえて座らせる。

 そしてなぜか、彼女は黒鹿亭に住むことになった。森のアジトは一人で寂しいと言ったためだ。

 この事は、王女だけにひっそりと報告するとセイが言い、他にもある身体の返却は、そのまま王女から冒険者ギルドへの初依頼となったのだった。

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