(三)-5
父の通夜と葬儀は葬儀会場や火葬場の予約の関係で木曜になった。
その間、仕事を休むことになるのだが、実質的には部下から判断を求められたり報告が来たりと、完全に休みとなることはない。葬儀社との詳細のやりとりもまだ残っていた。
一方自宅内でも母は職場への放火と父を失ったショックで寝込んでしまい、面倒を見なければならなかった。いつもなら堀田さんに任せるところであったのだが、代わりの家政婦の手配を母は拒んでいた。
俺はオフィスの自分の席でデスクの上の写真立てを見つめた。写真の中の婚約者は笑顔を向けてくれている。しかし、彼女に何度電話しても、全くつながらなかった。こういうときにこそ、一緒にいて欲しいのに……。
(続く)
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