(二)-14
俺は母を自宅に送った後、会社に戻った。母も、一人でいたいとのことだったから、遠慮せずにそうさせてもらった。
会社に戻るハイヤーの中で、俺は彼女に電話した。ここ数日、仕事以外のことで色々なことが起こりすぎていた。できれば一度会って気を落ち着かせたい。こういうときに彼女のような存在がありがたかった。
しかし、彼女は電話に出なかった。
ため息をつきながら車のダッシュボードの上の運転手の案内表示に何気なく目を向けた。今日の運転手は、砂田であった。
(続く)
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