(二)

「では、堀田さん、行ってきます」

 そう言って家を出ようとした。

 その間際、俺は何気なく「父と母は?」と尋ねていた。

「いつも通り、月曜は会議の日とのことで早くに出ていかれました。帰りも遅くなると」

「承知しました。では後のことよろしくお願いします」

 翌週、俺はそうして家を出た。

 家の玄関を出ると、前で待っていたハイヤーの運転手が出てきて「おはようございます」と言いながら後部のドアを開けた。今日の運転手もいつも通り黒川だった。


(続く)

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