(一)-8
俺は彼女の唇から少し自分の唇を離し、彼女を見てみた。彼女は微笑んで俺の目をまっすぐ見ていた。
しばらく真っ直ぐに見つめ合ったあと、彼女は目をつぶり、俺の唇に自身の唇を押しつけてきた。そして先よりも強く、お互い何度も吸い合った。
ハイヤーは新宿西口のターミナルまで来た。彼女を下ろし、俺は「電話するから」と別れの挨拶代わりに言った。
そして俺は車を会社に向かわせた。
淡いピンクのカーディガンに白いブラウス姿の彼女は。少し淋しそうな顔をしながら、胸元で小さく手をコチラに手を振っていた。俺も窓越しに軽く手を振った。
そのとき、彼女の唇がサヨナラと動いた気がした。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます