第4話 荒れた高校を立て直すなんて無理に決まっているでしょう?

 私、氷坂ひさか 伶菜れなは自分でゆうのもなんだが頭がいい。


 おまけにかなりの美少女だ。


 私がこの程度の高校で主席しゅせきをとるぐらい簡単かんたんなことだ。


 なんたって陽キャのまり場のれた高校だし。


 それならなんでこんな学校に来たのか?


 それは……


 +++++++++


 「伶菜ちゃんさ〜行く高校決めた?」


 それは私がまだ行く高校を決めかねていた中学3年生の冬休みのことだった。


 「まだ決めていないけれど……どうしたの?姉さん」

 

 「いやさ〜伶菜ちゃんに折入おりいって話があって」


 嫌な予感がする……


 「ほらそんな嫌な顔しないで〜あ、ケーキ食べる?」


 そう私にケーキを差し出してくる。


 「いいから話すなら早く話してくれない?」


 「もうせっかちだな〜」


 姉さんは私をイライラさせる天才だと思う。

 

 「実は最近、私の母校が荒れててさ……それで伶菜ちゃんさ、どうにかしてくれない?」

 

 はぁ……と私は大きなため息をつく。


 「無理に決まってるでしょう?」


 「そこをなんとか……」


 「あのね、たかが女子高生にそんなことできると思う?」


 「伶奈ちゃんなら大丈夫だって!」


 それに、と姉さんは続ける。


 「私が高校生の頃は当時とうじ荒れていたこの高校を立て直したしね」


 「……分かった、やるわ」


 「おお、流石さすが伶菜ちゃん!まかせたからね〜」


 私は姉さんが気に食わない。


 姉さんは見た通りの軽い性格をしている。


 それなのに姉さんはおどろくほど優秀ゆうしゅうなのだ。


 何をしてもいつも私よりいい成績せいせきのこす。


 私はそんな姉さんに劣等感れっとうかんを感じていた。


 私はもうこれ以上姉さんに負けたくない……


 私はそうしてこの楓月かづき高校への進学を決めた。


 +++++++++

 

 そんなことより、私は今生徒会室せいとかいしつの前に来ていた。

 

 「生徒会にはもう少しマシな人がいるといいのだけれど……」


 そうつぶやきながら私は生徒会室のドアを開いた。


 「失礼します、1年の氷坂玲奈です。生徒会の見学に……」


 その瞬間しゅんかん、私は声を失った。


 ピンク色のかみ、耳に付けたピアス、中央のソファに鎮座ちんざしたその男は両隣に水着姿の女をはべらせていた。

 

 「お、伶菜ちゃんじゃん。座って、座って〜」


 もう帰っていいかしら……

 

 それでも一応かいのソファに座る。


 「俺は会長の菊池きくち 恭弥きょうや、よろしく♪」


 「会長?入学式では別の方が挨拶あいさつされてましたよね」

 

 「ああ、あれ俺の影武者かげむしゃね」


 「……ちなみにそこの女性の方々は?」


 「俺のカノジョ」


 どうやらこの学校は一夫多妻制いっぷたさいせいが認められているらしい。


 「そんなことよりさ〜、今日この後パーティー開くんだけど伶菜ちゃんも参加しない?」


 「パーティー?新入生歓迎会しんにゅうせいかんげいかいですか?」


 「いや?らん◯パーティー」


 「……」


 その時、私の中の何かが切れる音がした。


 「会長、もうわけありませんが私は生徒会に入る気はありません」


 「えぇ〜」


 「……失礼します」


 私はソファから立ち上がると無言むごんでドアを閉めた。


 「生徒会に入ればこの学校を立て直せると思ったけどあれじゃダメね」


 「あの会長、絶対ぜったい法をおかしてるわ」


 それはともかく早く何か対策をらないと……


 

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 ここまでお読みいただきありがとうございます!

 今回はヒロイン視点の物語でした!

 励みになるのでよければ☆・コメント等よろしくお願いします

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