第3話 学校一の美少女ってのはクーデレ優等生ってものだろ?

 「えー、君たちはこの高校の生徒として……」

 

 俺は半分ねむりながら入学式の校長先生の話を聞いていた。


 いつも思うのだが、こういう話をまじめに聞く生徒はいるのだろうか。


 もしいるならどういう心持こころもちで話を聞いているのかぜひ教えてほしい。


 第一こういう式はラノベでは大体えがかれないからやる気出ないし退屈たいくつなんだよな。


 「新入生代表挨拶あいさつ、1年A組氷坂ひさか 伶菜れな


 その瞬間しゅんかん、俺の眠気ねむけ一瞬いっしゅんで吹き飛んだ。


 教壇きょうだんの前に立った女子生徒、それは入学式の前に見たあの少女だった。


 そうか、あの少女は主席しゅせきだったのか……


 「あたたかな春の訪れと共に私たち新1年生は……」


 彼女は堂々どうどうとした態度たいどでそう話し始め、 ついに一度もつまることなく演説えんぜつを終えた。


 +++++++++


 「えー、以上で入学式を終了します」


 長かった入学式を終え、俺は教室へと帰っていた。


 「いや〜、マジでだるかったな」

 

 「でもさ、あの代表挨拶してた1年生可愛かわいくなかった?」


 「ああ、氷坂さんな。あのクールな感じがいいよな〜」

 

 「だよな、マジで学年1の美少女なんじゃね?」


 教室への帰り道、俺はたまたま男子生徒同士どうしの話を聞いていた。


 学年1、その言葉を聞いた瞬間しゅんかん僕の胸は高鳴たかなった。

 

 単純たんじゅんだって?

 

 ああ、そうさ。別にバカにしてもらってかまわわない。


 だがな、1人のラノベ好きとして学年1の美少女という単語はゆめなんだよ!しかもクーデレだぞ!?


 決めたぞ……俺はあの少女、氷坂 伶菜と付き合ってみせる!

 

 ……とは言ったものの氷坂は特進とくしんのA組、俺は普通科ふつうかのC組だ。


 ラノベばっかり読んでたんだから仕方しかたないだろ。


 クラスが違っては接点せってんがない……どうしたものか。


 ラノベではこういう時偶然ぐうぜん同じ部活に入ったりするんだよな。うん、きっとそうだ。


 「それに例年、主席しゅせきの生徒は生徒会せいとかいに入るって聞いたぞ」


 「マジかよ、すげ〜」


 "マジかよ、すげ〜" じゃねぇ!


 いや、まだ大丈夫だ。


 最近読んだラノベでは主人公のアパートの隣の部屋にヒロインが住んでいたはずだ。


 家が一軒家いっけんやになったところで大して変わらないはず……


 よし、一旦いったんお隣の山本さんのことは忘れよう。


 ……


 やばい……このままではいきなりむ!


 早急そうきゅうに対策を考えねば。



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