第2話 ラノベの主人公ってのは女の幼馴染がいるものだろ?

 「まったく美穂みほのやつ俺より先にリア充になるとは……」


 俺がブツブツ言いながら歩いているとだれかが後ろから声をかけてきた。


 さてはいきなり美少女に話しかけられるパターンだな。


 「陽史はるふみおはようっ」


 「なんだ……康太郎こうたろうか」


 まあ正直しょうじき声で分かっていたのだが……


 進藤しんどう 康太郎こうたろう。俺の幼馴染おさななじみにして親友のだ。


 中学に引き続き春から同じ高校に通い、中学の頃はそれなりに人気のあるクラスの中心人物の1人だった。


 「なんだとはなんだ。俺たち幼馴染だろ?」


 「ああ、俺もお前とは今後ともいい関係を続けていきたいと思っているよ……だが1つ言わせてくれ」


 「何故なぜお前は男なんだ……!」


 そう。この康太郎は美穂と並ぶ俺の人生最大さいだいの問題──


 「何度も言うけど俺にはどうもできないんだから仕方しかたないだろ」


 「ああ分かってるさ……だがなラノベの主人公において幼馴染ヒロインは必須なんだよ!」


 「お前、その人にキャラ付けするくせ、高校では直せよ」


 なんだろう、なぜか同じことを数十分前にも聞いた気がする……


 そんなこんなで話しながら歩いていると、いつの間にか学校に着いていた。


 この学校は生徒の自主性じしゅせいおもんじた校風の私立高校らしい。


 まさに校風通りということだろう。

 

 髪を染めている生徒、スカートのたけが異様に短い生徒が多い。


 そう、この陽の者の溜まり場こそが俺のラノベデータベースからみちびき出した最強さいきょうの高校なのだ!


 「さて、まずはクラス分けの確認か」


 そう顔を上げた時───俺は思わず息をんだ。


 そこにいたのは周囲から逸脱した1人の孤高の少女。


 黒くつやがかった美しい長髪、綺麗きれいに整った凛とした表情。


 ふつうならマイナスとされる比較的ひかくてき小さな胸もよりその気品きひんさを引き立たせている。


 その全てが俺をその少女へと夢中むちゅうにさせた。


 「陽史……おい、陽史!」

 

 康太郎に呼ばれて俺は我に帰った。

 

 「急にどうしたんだ?陽史」


 「いや、なんでもない」


 俺が再びその少女がいたところを見ると、そこにはすでに彼女の姿はなかった──


 さて、もう分かったとは思うがこの少女こそがこの物語のヒロインである。



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 ここまでお読みいただきありがとうございます!

 今回、どうしても描写が多くなってしまいました……

 励みになるのでよければ☆・コメント等よろしくお願いします

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