権限
すぐにゴドが割って入る。だが皆殺気立っていて落ち着く様子がない。
「なあ、落ち着いてくれ、俺もわかってる、こいつにはちゃんとした恋人を用意するさ、集落の事は心配ない……別の血もいれないし、子供がすくなくてこまってるんだ、厄介ごとはおこさせないさ」
「だがこいつ、この亜人は!!この少女には悪い噂がある、裏で地上の人間と取引したとか、俺たちだって地上の人間のいざこざやら、裏で強いられた褒められたものではないものを扱っている、だが、こいつは、仲間を売った疑いがあるんだ」
「……??」
イナがルノをみる。ルノは顏を背けた。
「本当なの?ルノ」
「油断したな、ガキ!!」
男の一人が、イナになぐりかかった。イナはなんとかよけたが、次に男は、斧をとりだした。
「安心しろ、峰内にしてやるから、よっ!!」
ふりあげた斧が、イナの正面からイナにふりかかる。その時だった。
「いくらなんでも“子供”相手にやりすぎではないですか?」
斧の突端にてをかけ、斧の動きをとめたのは、エランだった。
「!!?こいつ、どんな力してやがる」
手袋をしたエランの右手は、いともたやすく加速して代の男に力まかせにふられた斧をとめた。そして男がいくら力をこめようとも、びくともしなかった。
「……いかな理由があろうとも」
エランは前髪の隙間から、男をにらめつけ、力をいれ言葉をはなった。
「いきなり、子供や女性に暴力をふるおうとするのは、倫理的に間違っているのではないですか?」
エランは片手で斧をいとも簡単にとりあげ、そのまま傍らに放りだした。
「誰だ!!お前ら!!」
「亜人局です」
エランが別の男につめよられたので、クラノが間にわってはいった。さきほど斧を振り上げていた男がいきりたつ。
「お前ら亜人局が何のようだ!!今更謝罪しようといったって、お前たちに部族すべてを救う力はない、だから俺たちはこんな薄暗い地下で……」
そこへゴドがくる。
「ああ、彼らは別件できたんだ、情報を仕入れようとおもってね、別に我々をどうこうしようというわけじゃない……」
「本当かあ!!?」
「まあ、ゴドのいうことなら、きかんでもないが、息子の件は早く肩をつけてくれよ、ほかの部族からもにらまれたくはないからな」
ようやく落ち着いたかとおもって、クラノが胸をなでおろす。
「はあ……」
その背後に、こん棒をもって忍び寄るものがいた。丁度クラノが、イナとルノに手を伸ばした瞬間、クラノめがけて男が襲いかかってきた。
「あぶない!!」
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