贖罪
「その贖罪からかねえ、大学をでてしばらく地上でいい会社に勤めていたんだけど、やりきれなくて地下で色々な人々の面倒を見るようになったんだ、地下はすさんでいるところもあるけどそういう面ばかりじゃない、国もなんだかんだいって支援をしてくれるし、今誰もが戦争が終わってから立ち上がっている最中だからねえ」
コロニー長とうちあけて、わりと地上の人々とも頻繁にコンタクトをとっていることもわかった。これもコロニー長ダルズがいたからだろうか?その辺はわからないが、ここの人たちにとってもこの街の地上の人々は打ち解けるまで時間がかかったようだ。そもそも、貧乏人や恵まれない人々にやさしくする人などごくわずかなものだ。しかし、この世界には“亜人”やロストテクノロジーなどという共通項があり、それが利害関係やら、同族意識を少なからずもたらしていることは確かなように感じた。村長宅をあとにしお昼食の最中、チサさんのおすすめの店で休憩、チサさんと一緒に楽しくおしゃべりをしていたが、その後に突然エランはこんな事をいいだした。
「チサさん、これは“表”の面よね、裏の面も教えてほしいの、難しいことだとはわかっているけれど、別にその調査にきたわけじゃない、亜人に危険がないかどうか、知りたいだけ」
「……」
「大丈夫よ、チサさんもわかっているでしょう、国だっていっぱいいっぱいだから、すべてを禁じることはできない、そもそもこんな危ない地下にリソースを割くことはできないわ、あなたたちの安全は保障する、どうかロストテクノロジーに関する場所を見せてほしいの……」
チサは少し黙り込んだのち
「わかりました……少しだけですよ、でも安全は保障できません、私たちも“彼ら”とは共存関係にありますが、彼らの力や、強力関係をなんとか維持しているにすぎないですから」
そういって、チサは立ち上がる。
「準備ができたらいきましょう」
「ゴクリ」
とクラノが生唾を飲み込む。
「できればいきたくないなあ……“地下ドワーフ”のところには……」
エラノは何もいわずに立ち上がり、クラノを見下ろした。
「先輩、私は何も反対してはいないですよ……ただ……無理はしないでくださいね、無茶も」
「はあ、わかってるわよ」
エランは自分に言い聞かせるように続けた。
「あなたを危険な目に合わせたりしない、二度とね」
それから3人は、街のはずれにある巨大なマンホール状の螺旋階段へいく、警備員がいたが、武装していない事を確認すると、進むことを許された。そしてさらなる地下への道をすすんだ。入り組んでいて、人一人がやっと通れる道や、四つん這いにならないと通れない道を進む。
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