国の地下。

 “イェラ”の国の地下構造は複雑だ。細いみちがうねり、上下にいりくんでいる。地図やガイドがいなければ、迷ってそのまま飢え死にすることだってありえる。地図があったってそれはありえる。なぜわざわざそんな構造にしているのか。それはかつてこの星すべてを牛耳っていた離異国が、国々のあらゆる文化や経済や社会構造まで、監視して、管理したがったためだ。それを嫌がった一部の人々や、密に離異国に反対するものたち、その重鎮たちは地下にかくれ、地下にこもってなんとかやつらに抵抗し、生き延びた。そして地下は複雑に、より複雑に掘り進められていった。国もこのことは承知で、しっていながらも全うな対処をしなかった。なぜなら、どこかで反乱の因子がうまく機能し、以前のような全うな民主的な国家に戻ることを望んでいたからでる。それでも離異国の頭脳はすさまじく、時に地下の標的をみつけ、命を狙うこともあった。そうした場合にも対処できるように細く入り組んだ道のあちこちに、巨大な扉があり危険と判断された場合は道ごと切り離す事になっている。その管理者は不明だが、いまだこのシステムによって不幸な目にあったり、意図的に悪用されたという話は聞かない。離異国に管理されていようが人々の意識はひとつだったのだ。

 二人は準備をすると、地下の入り口へ急いだ。巨大なマンホールのような形をした入口だ。様々な恰好をした人間がいる、浮浪者や、ビジネスマン、貧乏な人からどうみてもお金持ちから、地下に出入りするということは危険があることは皆しっている。だからここで値段に見合った“案内人”を雇うのだ。エランは中堅クラスの“案内人”を雇う事にした。まず、駅のような形状をした入口で案内人のクラスを指名する。A~Cまで、そのあとことこまかな打ち合わせ、案内人のプロフィールや、指定時間などを決めてから案内人と合流する。駅員のような人物から、1-21の部屋で待っていろといわれ、奥へすすんだ。細い道を通ると、奥は、突き当りにガードマンが二人たっていて、ずらりと部屋がならんでいる。部屋を見つけて入ると、少しきがおちついた。

「ぷはあー緊張した!!」

 クラノがため込んでいた息を思いっきり吐きだした。

「まだ、入口に来たばかりよ、ここからきをひきしめてないと、私たちには自衛手段があるといっても、危険なことにはかわりはないから」

「ふむう、先輩みたいに、私もいつも集中できていればいいんだけど」

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