新堂冬樹「枕アイドル」書評
今回は新堂冬樹の「枕アイドル」を読了しました。読んで字の如くですね(笑)。
ストーリーをざっくり説明します。
本作で主人公にあたる地下アイドルの
思いっ切り未成年(17歳)なので法的にはアウトなのですが、そこは生き馬の目を抜く芸能界というか、週刊誌やらネットの記事で読むような世界が展開されていきます。
が、未瑠はとても頭のいい娘で、自分から大物にコンタクトを取っては枕営業を仕掛けて、色んな意味でキンタマを握って対価としてのお仕事を得ます。
そんな中、ブログにいつも誹謗中傷を書き込んでくる
なんで会った事もない地下アイドルにここまで憎悪を滾らせる事が出来るのだろう?
なんかセルパブの世界でも同じ人種を見た気がするのですが(笑)、樹里亜は枕営業の証拠を公開するぞと脅してきます。
さて、この一見無関係に見える二人の繋がりはいかに……? という話ですね。
次は感想ですけど、今作は滅茶苦茶面白かったですね。500ページを超える作品なのに、全く長さを感じさせない。次はどうなるんだろうとどんどんページを捲ってしまう感じですね。
加えてミステリとしてはそこまでどんでん返しがあるわけでなく、少し鋭い人であれば途中で何が起こっているかに気が付くかと思うのですが、意外性が無くても関係ないぐらいに続きが気になってしまうのですね。
未瑠にしても樹里亜にしても心に闇を抱えているのですが、それがいくらか一般人の誰もが持っている要素がある事から、妙な共感を生んでしまうのかもしれません。全く関係のない分野にいる人にも、こういう事が自分の中でも起こり得ると思わせる説得力があったのだと思いました。
新堂冬樹作品は他に「闇の貴族」を読んだ事がありますが、本当に期待していた作品を期待通りに読ませてくれる素晴らしさがありますね。大体は「期待してたのとちょっと違うけどまあいいか」で終わるパターンが多いのですが、新堂冬樹作品にはそれがない。
他にも色々作品があるので読んで行こうかと思います。
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