あなたに捧げた愛について
@momoke
第1話 エピローグ
絵を描くことが好きだった。
自分の世界がどんどん形になる、リアルになる。私だけの世界が好きだった。
でも、それは嘘。
周りからの称賛や期待に答えれた快感に酔いしれていたからだと今になって思う。
入江深琴、16歳、春。
今、毎年何十人もの学生を難関大学送り出すこの進学校で大学の説明会が行われている。それっぽく姿勢を正し、メモ取る。こんなときに過去の栄光を思い出すのは、きっと未練があるから。
教壇で熱の籠もった。
誰かが話す声が遠くなっていく。
私は絵を描き続けるべきだった、あのときの苦労を手放すべきではなかった。
迫りくる現実を前に、私の心は過去を求めている。
もうすでに無いはずの過去を求めている。
あなたに捧げた愛について @momoke
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