11/16 a.m.7:31

「 」

第1話

アラームの音で目が覚めた。六時半。いつもは一回目が覚めるのに、まわらない頭でぼんやりと思った。カーテンから差し込む光が眩しい。明るくなっている部屋を見て、嫌気がさした。

『仕事行きたくない…』

思わず声に出た。どんな言い訳をして遅刻していこうかあれこれ考えながらまた眠りにつく。すっと暗闇の底に落ちていき、光が小さくなって消えてしまいそうになったその瞬間、また目を覚ます。スマホを見ると六時五十五分。明るい部屋を再認識してまた嫌気がさす。私は本当に仕事に行きたくないと思っているようだった。居てくれるだけでいいんだから、ってあの二人話してたな…それでも行きたくない、行かないための理由を必死で探していると、もう時刻は七時十八分だった。さすがに、電話をして休む連絡を入れるのもはばかられる時間帯になってしまった。半ば投げやりな気持ちで起き上がり、重たい足取りで浴室へ向かった。服を脱ぐとぞわぞわと鳥肌が立った。お湯をひねり、湯気に包まれる。熱いお湯を被るとなんだかほっとした。浴室からでると、ひんやりとした冷気が部屋に流れているのが肌で感じとれた。髪の毛を乾かしている間、程よい暖かさと心地よい音程に眠気を誘われる。スーツを着て、スマホの時間を確認すると四十五分。妹からのLINEの通知が目に入った。

『?珍しいな』

〝たっくん家の〟

〝あやこちゃん死んじゃったんだって〟

〝昨日いきなり救急車で運ばれて〟

思わず二度見した。それはあまりにも唐突で、衝撃的な連絡だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

11/16 a.m.7:31 「 」 @hongmao25

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ