ついてない日
「見つけ出せ!!見つけ出して殺すんだ!!」
「日本だぞここ!?
イタリアでも、香港でもないんだぞ!?」
「イタリアンマフィアとか、香港マフィアといいたいのか?
マフィアもヤクザも極道も名称違うだけで、8割程度は同じものじゃないか?」
「違う!!」
他人から見えないことを良いことに詰まれた木箱に座り、足を組み頬杖をつきながらカゲは黄色い目で物陰に隠れている
何処から仕入れてきたのか甚だ疑問で仕方ない銃を片手に、
「なんかこう……違うんだよ!!」
「……はあ」
あまり感情の変わらないカゲであるが、珍しく何いってんだこいつといった顔で
ここは、
「そもそも、簡単なお使いじゃなかったのか!?」
「……さぁ?想定してなかったかも知れんぞ?」
「明らかに不自然な間!!」
カゲは、少し考えるフリをしてから目元を細めて笑う。
ことの始まりは、昨日の晩に掛かってきた1通の電話であった。
「事前調査ですか?」
『そうだ。
今から送るが、その周辺に対して啓示が下りた。
まだ、詳しいことは分からないらしいが事前調査として軽く調べてきて欲しい』
「おお、噂に聞く啓示」
『その啓示だ。
まあ、そこまで大事にはならないだろう気楽に行ってくると良い』
啓示というのは、
「直接指名来たのは初めてだな……今までも啓示自体は何回かあったらしいけど」
「偶然なのか、あっちが意図的に避けているのか……まあ、どっちでも取れるがな」
「カゲ」
組織専用の通話アプリに送られてきた地図を
ガゲいつでも大体側に居るらしいが、ずっと周波を維持するのが面倒という理由で現れたり消えたりするので、だいぶ慣れたが未だに少し
外では、大抵維持しているのだが家だと狭いし家電製品が故障しても面倒という理由も追加されるので、通称低燃費モードでいることが多い。
「避けているって……知り合い?」
「いや、それはない」
「……ならなんで避けられているんだ?
というか、お前は隊長のロイデア分かるのか」
「……確証はないが、確信はあるってところだな。
まあ、私も好き好んで会いたい訳ではないので何も進言しないが……組織にずっといればその内会うタイミングもあるだろう、あまり気にするな」
カゲはそれだけいうと、また瞬きの間にその場から消えてしまった、また低燃費モードに移行したらしい。
改めて、送られてきた地図を見る。
正直、あまりこっち方面は最近行った記憶がないので曖昧だが大きな公園があったり水族園とかもあった気がする。
「……何があるんだろうか」
「詳しいことは分からないのだろう?
なら、少なくとも明日明後日の啓示ではないだろう、
低燃費モードでも話すことぐらいは造作も無いらしく、どこからともなくカゲの声が聞こえる。
啓示は、近い出来事であればあるほど精密で正確さも上がる。
最初の説明の時に、「台風の進路予想図のようなものだ」と
「それもそうだな、おやすみカゲ。
明日は、水族園に行こうな」
「行きたければ行くといい、私はただ着いていくだけだ」
あいも変わらず、そっけないカゲに
「現実逃避は終わったか?」
「終わったよ!!」
昼間は良かった。
水族園は楽しかったし、飯も港の近くとあって新鮮で美味しかった。
が、こんな事になったのは日が沈みかけていた夕方頃であった。
小規模なロイデアが出現した……のはいい、まだ。
ロイデアが出現すると、特務機関が出動してくるのでカゲと
勿論影なるヒーロー、
表通りの騒ぎに気を取られていると、聞き慣れない乾いた音を背後で聞こえた。
「ん?」
カゲは目線だけをその方にチラッと向けてから、興味を失せたように再び閉じた。
「あ?なんで餓鬼がこんな所に居るんだぁ?」
黒光りする物体の先から、硝煙をゆらゆらと纏いながら見るからに堅気ではない男とバッチリ目があった。
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