慣れない日常
「こんにちは」
「お、早いな
「早い……?」
家から電車に揺られて小1時間。
「あはは、きちんと来ているだけ早いさ。
昼食はきちんと取って来たか?」
「あ、はい。
きちんと取って来ました」
正社員になる前から緩いなとは思っていたが、それでいいのか……と
勤め先の名前は、株式会社
正式名称?を『秘密結社ダーク』。
(秘密結社の方は、知らないそうだ)
男子小学生のように、冬場でも頑なに半袖Tシャツだけは変えなかったこの組織の初期メンバーにして、一応これでもNo.2である。
そして、知る限りではこの組織の1番の常識人だ。
「また飴ですか?」
「当初は禁煙目的で食べてたんだがな…慣れるとこの棒がないとどうにも落ち着かなくてな〜」
口から取り出した棒付き飴は、既に飴の部分は溶け切っており、残っているのは噛まれすぎて軽く曲がってふやけてしまっている紙製の棒の部分だけであった。
「うげ、紙が歯に挟まった……」
「……気をつけてくださいね本当に」
「へいへい〜」
言われ慣れている
「今の所啓示は来てない。
まぁ、事務所でゲームするなり寛ぐなりしているといい」
「ありがとうございます」
今日は、招集日と呼ばれるメンバーが集まる日である。
最近の報告をしたり、ロイデアひいては帯雷体を取り巻く情勢の情報共有が行われる。
『
それはロイデアと契約し、ロイデアと融合したことで超能力的なものを使えるようになった人間のことを指す言葉である。
ロイデアという化け物により、普通の人間には到底辿り着けない地点へと至った彼らを人間社会は認めず、畏怖して、弾圧してきた。
それも、常に管理監視という条件付きであり、
「あんまり、風向き良くないなぁ…」
ボソリと溢れたように呟いた
しかし、未だに慣れない。
何も悪いことはしていない、していないはずなのに人を殺して逃げている殺人犯の様な心境に陥っているのだ、ずっと。
「まぁ、保守的なこの国で
スワンプマンのロイデアこと、カゲがそんな
カゲは、基本的に
唯一、ロイデアには視認されるらしいがこの世界に顕現出来る程の大きさを持つロイデアはそもそも喋れないことの方が多いので、問題ないらしい。
「おはようございます」
カゲに言葉を返したい気持ちを
カゲは
なのに、彼は時折
今は喋りかけれない。
カゲのことを横目で睨んでから、奥の扉を開ける。
「あ、おはよう!!
部屋の奥、豪華な社長机に見合わないまだ幼い少女は
「おはようございます、
「うむうむ、今日もお勤めご苦労!!」
彼女こそ、
そして彼女もまた、
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