アースの記憶が流れ込んで来る……。何々、まずは俺の名前はアース・サンドールで、公爵家の三男であると……。お! これは結構いいんじゃないか? 公爵家で地位も高く、長男ではない。


前から思っていたが、ただの一般の日本人が領地経営や国政に携わるなんて、無理な話ではないだろうか? その点、三男であればある程度、自由な暮らしができるのでかな? 


いや、政略結婚に使われるかもな……。自由恋愛の前世でも、結婚したくなかったのに、政略結婚なんてなおさらいやだな。


 


 うん、第一目標は婚姻に関する主導権を握ることだな。やっぱり、異世界ときたら冒険者も捨てがたいな。貴族でも冒険者になれるのか? 成人後は、市井に下って冒険者になるのもいいな。


まぁ成人後のことについては、ゆっくりでいいだろう。この国の成人は十六歳で、俺は今六歳だ。まだまだ、余裕がある。


 


 それよりも今は馬車の中で、なんと、魔法属性の判定のために教会に向かっているようだ。これも異世界転生のテンプレだな、顔のにやけがおさえられない……。 




 すると、






「どうした、アース? 具合でも悪いのか?」


 

と、目の前の男性に言われてしまた。

 



 どうやら、正面に座っているイケおじ、もとい俺の父親は、現公爵のフーラル・サンドールというらしい。


 俺が突然叫び、と思ったらにやけだしたので心配になったようだ。確かに、客観的にみると、やばい人間だな、俺。これからは、今までのアースとは別人だと思われないように、注意しなければならないな。






「申し訳ございません、父上。待ちに待った魔法属性判定のことを考え、うかれておりました。神殿につく前に、属性についておさらいしたのですが、教えていただいてもよろしいでしょうか。」






それから、父上は説明をしてくれた。




まず属性について、基本的には、火風土雷水光闇の七属性に分類される。そして、それぞれに派生系がある。貴族は、基本的に一つの属性を持ち、高位の貴族では、複数の属性を持つ者もいる。


目の前の俺の父親は、水とその派生である氷の属性を持っているらしい。


サンドール家は、水と風の属性を持つ人が多いらしいから、俺もそんな感じかな?








「父上、ありがとうございました。」




 


なるほど、アースの知識を一致するな。さて、俺は何属性かな。可能性的には、水と風属性が妥当だな。あとは、欲を言うなら複数持ちがいいな。まさか……、全属性とかあり得るか? そのー、転生者補正とかで……。


うーんでも、おそらく目立つな。










「神殿に着いたようだな」と、父上が馬車から降りる準備を始めた。






俺が、中二脳を全開にしている間に、神殿に着いたようだ。よくみると、前の方に仰々しい馬車がいる。あれは、王族かな。


アースの記憶によると、六歳となった貴族の子供はこの日に一気に属性判定を受け、その後記念パーティーがあるようだな。魔法属性を持つことによって、はじめて貴族の仲間入りをするから、そのお祝いということだ。他の子どもたちがいない理由は、おそらく身分順で行われるからであろう。王族の次が、俺たち公爵家ということだな。








 さて、どうなるかな。






「ようこそお越しくださいました。サンドール公爵様。そちらが、今回判定を受けるアース様でございますね。」



と、神殿の管理者らしき人が出迎えてくれた。




「お久しぶりです、司教様。アース、挨拶を。」



俺は父上に促されて、目の前の司教に挨拶をした。



「空間と時の女神の祝福を受け、類いまれなるこの出会いに感謝をすることをお許しください。お初にお目にかかります。サンドール公爵家三男、アース・サンドールです。本日は、よろしくお願いいたします。」






なるほど、これが貴族のあいさつか。そして、格好は片膝をつけ腕を胸の前にクロスするのか。家に帰ったら、もっとかっこよくできるように練習しよ。







「サンドールの子息方は、非常に優秀であると聞いております。アース様の判定も、楽しみでございますね。」



「ありがとうございます」と、俺はにやける顔をおさえつつ、毅然として礼を述べた。



「では、儀式の間に参りましょう。」






いよいよだな。廊下を進んでいると、鏡を発見した。よし、これで自分の容姿を確認できるぞ。


前世では、別に容姿は悪くはなかったが、さてどうだろうか。父親を見た感じ、かなり期待できるぞ。それでは、ご対面……。 


これは、かなりの美少年! 父親と同じ銀髪で、瞳の色は透き通るような緑色。これは、父親とは異なるから、母親譲りであろうか?成長したら、確実にイケメンになるな。


前世では、男性でもメンズメイクや、スキンケア、日焼け止めなどはほぼ当たり前になっていたからな。その知識を使って、しっかりとこの顔を育てよう。この世界に、日焼け止めあるかな。














「おいアース、自分の顔を見ながらにやけてどうした? 先程から変だぞ。」






「申し訳ございません。今行きます。」



これ以上はまずいな。父親に変人だと思われてしまう。気を付けよう。







しばらく歩くと、キラキラ空間に案内された。





ここが、儀式の間か……。










「ここが儀式の間でございます。先ほど第三王子殿下の判定が終わりましたので、次はアース様の番でございます。」







さっきの王族らしき馬車は、第三王子の馬車だったのか。王族か、面倒くさそうだから関わりたくないな。










「では、アース様。こちらの水晶に手をかざしてください。」








よし、いよいよだな。うん、この水晶もいかにも、ファンタジーらしいな。








「……!! これは……!」





 ん、なんだ? 司教や周りの教会関係者が、俺をガン見してくる。






「あのー、私何か失敗してしまいましたか。」




まさか、属性がなかったとか? いやさすがに、ないよな……?










「空間属性……。空間属性持ちが、遂に現れましたぞ!」




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