第32話 戦闘
襲撃者が現れ、龍の真体になったオカッパこと篠田マナは素早く状況確認する。
敵は十人、多分龍人はいない。
いたら戦闘前に真体か龍になっていたろう。
龍人が一番怖いのは同じ龍人だ。
(龍人がいないなら怖くない。が、数で押すと言ってる。なんらかの対策はしてるのだろうか?)
迷ってる暇はない、時間がこちらに有利に働くと限らない。
速攻だな。 オカッパは判断する。
「従者たち、
あの二人に護衛を任せて大丈夫だろう。自分たちは目の前の脅威を排除することに専念すればいい。
オカッパは多少自信があった。
龍人がいないなら百人でも相手にしても大丈夫だ。
最悪、龍になり焼き尽くすという奥の手もある。しかし近くに警護対象がいるからなるべくは、やりたくはないが。
前回の失敗もあるのでここはキチンとした働きを見せることは
(今度は守ってみせる!!)
強い決意のもと襲撃者に向かう。
敵集団に突っ込み相手の反応、体裁き、などを観察する。
(こいつら大した強くない。しかし、まぁまぁ連携がうまい)
オカッパはまだ刀を抜かない。もともと剣術よりも格闘の方が得意だ。
格闘術を使い、相手を攻撃する。相手はなにか幻術的な魔術を使ってるらしいが、そんなもの、龍眼には通用しない。
適格なローキックを放ちヒットさせる。
後ろでクロダも気づいたらしい。
「中尉! こいつらっ」
「ああ! 魔人だ! 魔術に惑わされるな!」
魔力を持ち、純粋魔術を使えるのはこの世界では龍人以外には魔人だけだ。
エルフやドワーフなど他の亜人も魔術を使用するが、彼らはまた龍人・魔人と違う法則で魔術を行使する。
オカッパは額の龍紋を発動し両手を龍化させる。
「フンっ!」
なにか魔術を使用とする魔人の前に一瞬で移動し発動させるその前に殴り殺す! まず一人!
「おい、龍人にはヘタな幻惑は効かないぞ、てめぇを強化しろ!」
敵のリーダーらしき人物が周りに注意を促す。
何人かが赤黒い光を放ち、強化魔術を使う。
クロダは相手が魔人の集団とわかった瞬間、空中へと舞った。
(今日の手柄は二人に譲って援護に徹しておこう)
遠距離火砲で的確に相手の連携を阻害する。
サムライはオカッパより尚も冷静に相手を観察していた。
(ふむ、真体になるまでもなかったでござるな……)
目の前の相手が三重の姿に重なり襲ってくる。何らかの魔術だろう。
サムライは落ち着いて本体を見極め、攻撃される前に近づき、電光石火の突きを放つ。
吸い込まれるように相手の胸にサムライの刀が抵抗なく入っていき、そのまま瞬時に抜かれる。
一瞬の所業にて、相手は何かされたかもわからず、絶命し、倒れる。
「ふふふ、そんなの我が竜聖一刀流の前では児戯同然!」
刀身の血を掃うため、ヒュッと刀を一振りする。
その時クロダの火砲がサムライの背後を狙おうとした敵二人に命中した。
「グッ」と倒れるが致命傷ではないようだ。
敵は龍人達の攻撃に手を焼いていた
「さすが手強いな、どうだっ!」
「待たせたな! いいぞ!」
「やれっ!!」
いつの間にか、敵の三人がオカッパ・サムライを中心に円形にぐるりと囲んでいた。
クロダが上空より「魔術警戒! なにかっ……」
と言いかけたところで敵の三人が地面に向かって何か魔術を発動させる。
その三人を外周に足元から魔法陣が光り、現れる。
クロダを含む三人が地面より飛び出した鎖につかまり地面に貼り付けられる。
オカッパがすぐに「こんなもんっ!!」と力技で鎖を引きちぎり立ち上がろうとする。
「龍人半端ないなっ! 見てないで手伝え!!」
すぐにもう三人が魔術を応援し六名からなる術式を発動させる。
すぐに倍の鎖が現れオカッパたちが拘束される。
「魔術はあと五分持たせてくれりゃいい。さて。あと、一人か」
◇◇◇
おおっと~オカッパ小隊、ダメじゃん。
魔術使っている以外の二人がこっちに向かってくる。
どうすんのコレ。
逃げれるかな?
と考えてたら俺をかばうように前にいたサキちゃんが赤く光り背中からバサっと翼が飛び出す。
ピシっとスカートから細長い尻尾もでてきた。
翼も尻尾も皆、同じじゃなくて個人差があり、尻尾も細かったり太かったり、翼も細長いのとか、それどう見ても飛べないじゃん、みたいな小さいのとか。
二人が俺たちを襲おうとした瞬間、後ろの一人が白目を剥いて倒れた。
首にナイフが刺さってた。
そいつが倒れた後に立ってたのは青野君だった。
サキちゃんが「遅い」と彼に向かって言う。
「なっ!」と残った一人が言った時だった。
近くで爆発が起きた。な、何事だ!?
その爆発跡地のクレーターに立ってたのは真体となり、文字どおり体中から炎を噴き出したカナエだった。
口からは熱し過ぎたのか吐息が水蒸気のようにモクモクと流れてシューシューいってる。すげぇ~~~。
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