第4話 スリ少年

 村の衛兵の赤ら顔がさらに赤くなっていた。衛兵の眉は吊り上がり、目には怒りの炎がめらめらと。


 「このクソ・アルフレッド・バーガーズめ!ただじゃ置かねぇ、俺のポーチから何を盗んだか言ってみろ!」


 「兎肉のローストとダガーナイフだいっ!」


 首根っこを掴まれて宙に浮いているアルフレッドは手足をバタつかせ、必死になって叫んだ。


 衛兵の怒りは収まらなく、アルフレッドの頭にげんこつを食らわせた。


 ミハイルは動じることなく冷静だった。エレノアも本を読むのをやめて、玄関のドアまでやって来た。エレノアは衛兵に捕まえられているアルフレッドを見て、目をまん丸にして口に手を当てて驚いていた。


 「あらまぁ。またアーニャったらバカなことして」


 エレノアは呆れたように言った。アルフレッドはそんなエレノアを見てなぜかうれしそうにしていた。


 「てめぇ、アルフレッド。盗んだのはそれだけか?違うだろ?まだ盗んだものがあったはずだ!それを言えっ!アルフレッド!」


 衛兵の身体は怒りでブルブル震えていた。


 そしてアルフレッドはとんでもないことを言った。


 このときアルフレッドは後に、己の運命を変えるものを盗んだのだった。

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