苦悩の19歳
第30話 それぞれの道
「本校への入学おめでとう………」
思い出に残る高校生活を終え、新しい生活が始まった琢磨。
「琢〜磨!」
キャンパスを歩いて周っていると誰かにぶつかられた。
「痛いじゃんか、北川」
そのキャンパスに美波がいた。
「まさか同じ大学になるとはね〜」
「なんだ?嫌味か?」
「そんなんじゃないよ!むしろ嬉しいんだよ」
「嬉しいってお前」
「完全に離れ離れになった訳じゃなくなったじゃん?」
「確かにそうだな」
「沙織は早稲田。東条は………就職だっけ?」
「ただの就職じゃないぞ、社長だ」
「えっ、嘘………」
「父親の会社を受け継いだらしい」
「あいつに会社経営とか出来るの?」
「さあな、不安ではある」
「フフフ………まぁまた4年間よろしくね!」
「ああ、よろしくな」
「…………あっ〜〜いけない!これから部活に顔出さなきゃ」
「おいおい、スポーツ推薦入学者が部活疎かにするなよ」
「わかってますよ〜だ。じゃあな」
「頑張れよ…………さてと」
いざ1人になるとどうすればいいのかわからなくなる琢磨。目的も無くキャンパスを歩く。
(良かったよな琢磨。志望大学落ちた時の落ち込みようは凄かったけど、なんとか志望大学と落差無い場所で受かって何より。美波ちゃんがいるのはでかいな。)
(一部不純な理由もある気がしますが、確かにあの時の落ち込みようを考えると志望大学の質と落差のあまりないところに受かったことはホッとしましたわ)
(やっぱり知り合いいるのは心強いだろうな)
(段階としては己の力で切り開いていく方が良かったような気もしますがね)
(琢磨、どうした?)
(琢磨さん?)
「うん、どうした?」
(なんだ?就活か?)
(これは…………サークルの募集チラシ?)
「あぁ折角のキャンパスライフだからな、どこかに入ろうとは思ってる。」
(…………)
(…………)
「なんだよ?」
(琢磨が、自分から人と関わろうと)
(成長されましたわね、琢磨さん)
「お前らな………あっ」
(どうした?)
「もうすぐ学部のガイダンスだ」
(あら、まずはそちらですわね)
(学部が学部なだけあって日本の方以外の人多かったですね)
(しかしなんで国際学部なんだ?)
「これからのグローバル社会に適応するには、世界について学ぶのは重要だと思ってな」
(そういうもんかね)
(私に聞かれても)
いつの間にかキャンパス内を一周した琢磨。
(サークルは………また明日決めればいいか)
「あれ、たっくん?」
「えっ」
(あれ………この方)
(マジか…………)
「みっちゃん?」
声をかけてきた女性。それは孤独に突き進もうとしていた頃の琢磨を気にかけ続けてくれていた幼馴染であった。
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