第23話 憑依者
「君もテンとアクを………」
琢磨がこれまで生きてきて初めて出会った自分と同じ存在。
「テンとアク………先輩は名前つけてあげてるんですか?カワイイ〜」
「いや、こいつらがそう名乗った」
「へぇ〜。じゃあ順調なんですか?」
「順調?」
「そこまでこの子達と仲良くやれているなら、先輩の人生順調ってことじゃないんですか?」
(月子。それは彼に聞いてもわからない。憑依者の人生の成功具合は天使長と悪魔長しかわからないんだ)
(まぁ聞いたことろで教えてくれる訳ないけどね)
(お兄様!)
(姉貴!)
テンとアクが日笠に憑依した2体に反応する。
(なんの冗談だ?小僧)
(…………私にこんな妹いたかしら?)
(!?)(!?)
(なんかデジャブが起きてるんだが………)
(お兄様!私です。テンです!!)
(俺だよ姉貴。弟のアクだよ!!)
(この2体は何を言っているんだ?)
(さぁね?)
事の顛末を説明する2体
(入れ替わりね…………)
(そんなこと本当に起きるのね)
(だから俺がアクで)
(私がテンなんです!)
(我が妹の姿でその言葉使いやめろ)
(アクが女言葉とかウケる〜)
(それで父上達は?)
(説明はしたけど、信じてないって感じで)
(御二方とも【力】を発揮しそうでした。)
(まぁ受け入れられないのも無理はないよな)
(頭固いからな親父達)
(まぁ元気そうで何よりだ)
(ちょっとあんたなに健闘を称えるみたいな雰囲気なのよ。憑依者に憑いた以上私達は競い合う相手なんだから、ヤメてよね)
(そういうな、久しぶりに会ったんだ今は互いの近況を懐かしんだって)
「あの、お取り込み中悪いんだけど、勝手に会話しないでくれる?」
(月子。これはすまない)
(てかあんたもあんたよ月子。なんで憑依者に正体バラしてんのよ)
「だって初めて自分と同じ立場の人見つけたんだもの。ねっ先輩?」
「確かに、初めて会った。自分以外に天使と悪魔が憑いている人」
「そうだから私達は唯一無二の存在同士なんです!」
「それは日笠さん。極論過ぎじゃないか?」
「もう。先輩お固いんだから、まぁ今日は挨拶のつもりだったんでこの辺で御暇します。明日からよろしくお願いしますね先輩♪」
「あっ日笠さん」
そう言って明後日の方向に走り去って行く日笠。
(全く。相変わらず勝手な、またな妹よ)
(じゃあなアク)
「お前ら兄弟いたんだな」
(姉貴だけじゃねぇ、憑依者に憑依してない家族は大勢いるんだ)
(それは私達もですわ)
「なんか大変そうだなお前達」
(お前もこれから大変そうだな琢磨)
(ですわね)
「…………。」
突然の憑依者との邂逅と家族との再会。それは琢磨の壮絶な高校生活の幕開けとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます