第19話 初詣
「お兄ちゃん早く早く」
「そう慌てるな優。」
両親へ新年の挨拶をし、朝食を食べた琢磨は優と共に近くの神社を訪れた。
「いやー凄い人だね」
「初詣だしな」
「・・・・・。」
「なんだよ」
「そこは『そうだな!凄い人だな』でいいんだよー。冷めるな~」
「別にいいだろ」
「その反応は確かにお兄ちゃんらしいといえばらしけど、本当にそんな感じのままで友達出来たの?」
「余計はお世話だ」
「おっ!御使じゃないか、あけおめ」
「東条。おめでとう」
とっさに優は琢磨の後ろに隠れる?
「!?誰だその子は御使。まさかお前いつの間に・・・・」
「俺の妹だ」
「妹さん・・・・めっちゃ可愛いじゃん!!俺、東条渉よろしくね」
「御使優ですよろしく・・・・」
「なんだ?兄妹揃ってシャイボーイ&ガールか?」
「いや、多分違う理由だ」
不思議がる東条。
(言わない方がお前の為だと思うから、自分で答えを見つけてくれ東条)
(年明けからフルスロットルだなあの男)
(優さんの気持ちお察ししますわ)
「折角だし一緒にいいか?」
「別にいい・・・・・」
後ろから強烈な威圧感を感じとる琢磨。
「ちょっと待ってくれ」
「なにお兄ちゃん!まさかあの獣が最近出来たって話してた友達!?」
「そうだ」
「お兄ちゃん。悪いことは言わないから今すぐ手を引きなさい」
「おい優。第一印象で決めつけるな」
「第一印象がその人の印象を強く決めるの!」
「なんの話だ?」
「いや、なんでもない。とにかくこいつがお前が興味を持っていた友達の1人だ」
「お兄ちゃん・・・・」
「悪い東条。行こう一緒に」
「おう!でさ優ちゃんはいくつ?好きな子とかいるの?」
(この男琢磨さんの気づかいも知らずに・・・・・)
「おい下僕」
「!?」
東条の後ろには優が見惚れる程凛とした着物の女性が立っていた。
「お嬢様・・・・・明けましておめでとうございます」
「なに約束ほっ放りだして談笑・・・・って御使か」
「よお西宮。おめでとう」
「明けましておめでとう。その子は?」
「御使の妹さんだそうです。名前は優ちゃん」
「なんであんたが名前知ってるのよ?」
「先程当人より情報を得ました。」
「ごめんなさいねこの阿保が。お兄さんのクラスメイトの西宮沙織です。よろしくお願いします。優ちゃん」
「はっはい!兄がお世話になってます。こんなぶっきら棒の兄ですが今後も仲良くして挙げてください」
「お前は俺の保護者かよ、余計なお世話だ優」
「あら出来た妹さんじゃない御使。」
「からかうな西宮。あれ北川は?」
「もう来るはずなんだけど・・・・・来た来た」
「ごめーん2人とも遅れてって・・・・琢磨!?お前大晦日の晩に初詣済ませたんじゃなかったのか?」
「どえらい初夢に魘されてそれどころじゃなかったよ」
「どえらい初夢?・・・・・・なにはともあれ皆明けましておめでとう。今年もよろしくね!」
「よろしくな」「よろしく!」「もちろんよ美波。」
(なにお兄ちゃん!こんな美人さん以外にこんな可愛い人とも友達なの!?)
「あれその子は?」
「琢磨の妹の優です。兄がいつもお世話になってます」
「琢磨の妹さんか~可愛い~。あっクラスメイトの北川美波ですよろしくね。優ちゃん」
「なんだかんだ4人揃うのな」
「そうだね!優ちゃん私達もお兄ちゃんと初詣していいかな?」
「はい!是非!!」
(流石だなあの娘は萎縮気味だった優ちゃんを輪の中にもう入れてるじゃん)
(そうですわね)
ジャラン、ジャラン
鈴の音が目前に迫る。
「皆なに願うんだ?」
「なんで言う必要があるのよ」
「同感。」
「えーいいじゃん減るもんじゃないんだし」
「もう美波まで」
「私はね・・・・・・。」
3人は思わず吹き出してしまう
「なによ!」
「北川らしいな」
「そうだな」
「もっといろいろあるでしょう。美波」
「大切なことでしょ!?でっ東条は」
「やめとく、北川の願い聞いた後だと恥ずかしい」
「いいだしっぺがズルい」
「もったいぶるな」
「見損なったわ下僕」
「あ~わかりました。俺は・・・・・・」
「じゃあ学校でな御使。」
「おう」
「優ちゃんまたね!」
「はい!美波さん沙織さん」
「えっ俺は~優ちゃん」
「・・・・・べーだ」
「そんな~」
「あの願い事はマズかったわね」
「だからっやめとくって言ったのに~」
笑いにつつまれながら分かれる2組
「お兄ちゃん。良かったねお友達出来て」
「うん」
「あの男以外は」
「ハハハ・・・・」
(琢磨!フォローしてやれ~)
(当然ですわ、罰当たりな)
大事な時期を迎えた4人はそれぞれの想いを胸に高校生活最後の1年をスタートさせた。
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