第8話 勉強会

あれから学校でも美波と話す機会が多くなった琢磨。学校の人気者の美波の影響もあり、クラスメイトともコミュニケーションを取ることが増えてきた。


「なぁ御使。学校終わったら遊びに行こうぜ」


「東条。先週付き合ったろ勘弁してくれ」


「まだまだお前に伝えたい学生生活の魅力がいっぱいあるんだよ!」


東条渉(とうじょうわたる)。ひょんなことから琢磨が助け仲良くなったクラスメイト。


「学生の本分は勉学だ。遊ぶことじゃない」


「青春も立派な学生の本文だよ少年」


「遊びまくった結果危うくお縄になるとこだったこと、忘れてないか?」


「確かにスゲー助かったよ。でもアレはアレ、コレはコレだって」


「それにもうすぐ期末考査だろ?お前その調子で大丈夫なのかよ?」


「………諦めも肝心なのだよ少年」


「………1週間前に諦めるな」


「だってよ!先生の授業聞いてても全然分からねーもん」


「早弁と居眠りしてるのしか見たことないが」


「…………。」


「エヘェじゃないんだよ!?その・・・・・なんなら俺が分かる範囲で教えてやろうか?」


「テストの問題をか!?」


「馬鹿か、何が出るなんて知る訳ないだろ。出題予定の範囲一緒に勉強するんだよ」


「マジか助かる〜ありがとう御使」


「なになに?琢磨勉強教えてくれるの?」


2人の会話に反応して女子2人が話に混ざる。


「おっ北川。あぁ俺にな」


「えーずるい、私にも教えて!」


「いや北川って成績そこまで悪くないだろ?」


「もっと点数上げたいんだよ~頼むよ!ねえ沙織?」


「何、なんの話し?」


「琢磨が勉強会開くんだって」


「へぇ〜御使が。常に成績上位者に名前があがる貴方の勉強方法確かに気になるわ、私も美波と参加させてよ」


(西宮沙織(にしみやさおり)北川の親友だっけ。てか学校一の才女になに教わるんだよ!確かに俺はクラスの中では成績良いが、お前は学年内のトップ3だろ!?)


「じゃあ放課後は琢磨の家で期末考査の勉強会ね!」


「おい北川勝手に決めんな」




放課後。琢磨の家に揃う4人。


(なんですの?騒々しい)


(なんか家で今度の試験の勉強を4人でするんだってさ)


(あれは………最近琢磨さんに要らね入れ知恵をする猿)


(面白いヤツだよな)


(もうお一人の方は見ない方ですね)


(あの娘の友達みたいだ。琢磨曰く自分より成績は優秀らしい)


(?ならば何故参加を??)


(さぁ?)


始まる勉強会。琢磨が渉を、沙織が美波を見る形となっていた。


「う〜ん。チェンジ!」


開始1時間。美波が叫ぶ


「どうした?北川」


「どうしたも、こうしたも、これじゃあいつもと変わらない!」


「?」


「勉強会って色んな人と勉強するのが醍醐味でしょ?これ私のいつもの試験前と変わらない〜」


「そうだよな〜俺も色んな人から教わりたい」


「おい東条。」


「これがバランスの良い組み合わせじゃない?」


「つまらない!」「つまらない!」


意見の一致に握手する2人


「って言ったってどうするんだ」


「そりゃあ組み合わせシャッフルでしょ?」


(なんだ?なんか面白そうな展開だな)


(どうなるんでしょうか?)


琢磨と美波、渉と沙織ペアに入れ替わって再開する勉強会。


「違う。ここはこう考えて………」


「なっ、なるほどな~」


(ハハァーン。あの娘の狙いはこれか)


(不純ですわ)


一方


「さぁ、解けた?」


「はい!沙織様」


「………正解。偉いわ下僕」


「ありがとうございます〜」


「………沙織?」


見知らぬ親友の姿に若干引き気味の美波


「どんな勉強方法してるんだ……………!?」


悪寒を感じた琢磨。


(おいあの娘の友達。琢磨の友達を骨抜きにしながら琢磨にとんでもない圧かけてんぞ)


(あれは……異性から友達を守ろうとする視線ですわ)


沙織からの視線を琢磨も感じ取っていた。


「どっどうした西宮?」


「なんでもないわよ?ほらそこ間違えてる下僕」


「すみません!沙織様」


「素直でよろしい。そういう人好きよ」


眼の色を変え猛烈に与えられた課題をこなす渉。


美波の疑問に答えるも、沙織の圧も気になる琢磨


「どうした琢磨?」


「いや、なんでもない」


(琢磨完全に戸惑っているな)


(ですわね)


(こうなれば)


(あっ!アクさん)


「なんだ西宮?お前も俺から教わりたいのか?」


「へぇ〜。御使私に何を教えてくれるのかな?」


(なにをやってんですか〜アクさん!)


「それはな」


琢磨(?)は美波の身体を自分に寄せる


「なっ!」


「ちょっと琢磨」


「おっ!なんだなんだ」


「俺と美波の関係」


衝撃が走る勉強会


「えっちょっ琢磨?」


「マジかお前ら」


「そんな馬鹿な!美波は私のモノだ」


「へっ」「えっ」「なんだなんだ」


(まさかのお友達さん嫉妬パターンですの!?)


「貴様に美波は渡さん。御使!」


「ふん、俺から奪い取れるとでも?」


「なにを!行け下僕」


「はっ!沙織様」


「なにをする渉!」


「悪いな御使。沙織様の命は絶対なんだ」


「離せ渉」


「お前こそ北川から離れろ」


「キャア」


力尽くで引き離した渉、だがその勢いで躓く


「!?」「!?」


(ワォ〜ですわ)


唇が重なる男達。


「お前!俺のファーストキス返せ」


「その言葉そっくりそのままお返しするわ!!」


「あぁ琢磨………」


「貴様!誰が接吻しろと言った!!」


「申し訳ありません。沙織様」


「さぁ美波。こんな下衆共からは離れましょ」


「沙織のバカー」


「そんな………美波待って〜」


波乱の勉強会は美波の退場で幕を閉じる。その後各々が関係の修復に時間を使った結果。


4人の期末考査の成績は前回より悪化した。


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