7 職業登録


「職業登録組合へようこそ。職業登録受付のローザと申します。早速ですが登録者様の適性職業をご確認いただくためこちらの道具に手をかざし、『職業を』と念じていただきます」


 数分後、俺の前には少し早口のように喋るローザと名乗る女性がいた。そのローザは言うが早いかカウンターの下から取り出した道具を俺の右斜め前ぐらいの位置に置いた。


「手をかざし『職業を』と念じていただくと脳裏に登録者様の選択可能職業が浮かび上がってきます。その中から登録したい職業を選択していただくと手をかざしていただいた道具からカードが出てきます。カードが出てきた後のことはその時に説明いたします」

「分かった」


 そう言いながら俺はその不思議な道具に手をかざす。そして間も置かず『職業を』と念じた。

 その瞬間俺の視界に1つの仮想ウィンドウが現れた。


――――――――――


選択可能職業一覧

・見習い剣術士

・見習い杖術士

・見習い水術師

・見習い鑑定士

・見習い魔水術師

・魔水術師

・見習い─水術師

・─水術師(選択不可)

・etc.……


――――――――――


 上の4つはまだ解るけど下の4つが一切理解できないな。

 下の4つ以外は掲示板でも出現報告があったから、これはそれに関するスキルを持ってるだけでいいんだろうな。

 それと、下の4つに関してさっきは咄嗟に理解できないって思ったが少し考えればわかることだったな。明らかに特別な職業で俺のステータスの中で特別なのは1つしかないからな。


 で、結局どの職業にするかだが、上の4つの内杖術士と鑑定士は論外で見習いのない何とか水術師はそもそも選ぶことができないし、普通の水術師に限って言えば上位互換的なのがあるから実質3つの中から選ぶことになるのか。どうすべきか。

 一番強そうなのを選ぶとしたら見習い何とか水術士だよな。

 見習い剣術士か魔水術師でもいいがここは思いきって下から2つ目の見習い何とか水術師を選択するか。


 そう俺が思ったと同時に手をかざした道具からプシューと音が鳴り、金属でできていると思われるカードが出てきた。そこには俺が選択した職業名と俺の名前が刻まれていた。

 俺がそれを確認したと同時に、システムメッセージが出てきた。


――――――――――


職業:見習い─水術師が選択されました。現在のレベルでは全ての力は発揮されません。


――――――――――


 システムメッセージを読み終わったタイミングでローザが喋り始めた。色々疑問点はあるが今はローザの話に意識を向けよう。


「職業が決まりましたか。では職業カードと職業の再登録、職業カードの再発行の説明をさせていただきます」


 ローザはそう言うなりカウンターの下から一枚の羊皮紙を取り出した。そこには職業カードのテンプレートらしきものが描かれている。


「こちらの図は職業カードの定型となります。カードの左上には登録者様のお名前が記されており、そのすぐ下にはカードの発行日時が記されております。そしてそのすぐ右には登録者様の職業が記されております。此処まではよろしいですか?」


 これらの情報は正直発行されたカードを見るだけでも解るので頷いておく。


「御理解されたようですね。では続きましてカードの大半を占めている下半分の説明となります。この部分には冒険者ギルドや生産者ギルドなどの情報等が記される予定の場所です。詳しい説明はそれらのギルドにて聞くようにしてください」


 そこでローザは説明を一度止め、カードのテンプレが描かれている羊皮紙を仕舞った。

 顔を上げたローザは職業の再登録と職業カードの再発行の説明を始めた。次の説明も何らかのテンプレを見せながらするのかと思ったがそうではないようだ。


「職業の再登録及びカードの再発行は、職業カードの紛失または職業変更の際のみ受け付けております。

 その際職業変更の場合のカードの再発行費用として100万Fをいただくことになっております。カードの紛失での再発行の場合は100万Fに加えて1000万Fを払っていただきます。

 以上で職業カードに関する説明を終わります。何かご質問はありますか? 無いようでしたらこのままカード情報の控え作成に移らせていただきますが」


 説明は終わったそうだが、質問するべきことはないと信じて次に移ってもらおう。


「質問はないです」

「畏まりました。それでは登録者様のカード情報の控えの作成に移らせていただきます。こちらの紙にカードを押し当てていただけますか?」


 そう言うなりローザは一枚の紙を取り出した。


「カードを押し当てるだけでいいのか?」

「はい。押し当てるだけで結構です。そうするとこの紙にカードの情報が記されますので」

「分かった」


 どういう原理なのか解らんが、これがこの世界の技術なのかそれとも神のような存在が創った物なのか。何れにしてもこういう世界ではすごい技術だろうな。


 俺がカードをその紙に数秒押し当てているともう大丈夫とローザが言ったのでカードを紙から離すと、その紙にカードの情報がそのまま写されていた。


「ありがとうございます。以上で職業登録手続きは終了になります。職業カードは失くさない様にしてくださいね。もし失くしていまったら先ほど言ったように100万Fと1000万Fのお支払いになりますからね」

「ん、分かりました。ありがとう」


 そう言って俺はカウンター前からどき、出口に向かっていった。


「ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」



──────────


お読みいただきありがとうございます。

もし『面白かった!』等、思ってくださった方は作品のフォローや、小説概要の下の方(ブラウザの方)かレビューの欄(スマホアプリの方)の星を、1つでも埋めてくださると作者が何処かで喜びます。

よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る