5 これからと武器


 これからの予定だが、アセヴィルは東の森林の向こう側、聖森林の中にある国に行くという。で、俺はアセヴィルを手伝うことになったからそれについていく。

 東の森林の中央付近には水人族の国が在るらしいがそこは通らず、『フレイトゥル』から一直線で聖森林にあるという『ムークォ聖王国』に行くらしい。

 ムークォ聖王国とは聖森林にある聖族の国で、魔族の国であるユトゥル魔王国とは別に犬猿の仲ではないそうだが距離が距離なのか交流は殆どなかったそうだ。


 聖族は、『聖』と付いているが俗にいう神の使徒とかそういう種族というわけではないそうだ。

 正神アザトスの使徒は別にいるらしく、その種族名は『天使』だそうだ。

 天使と言えば俺のキャラクリとその他諸々の案内だった名無しの天使だが、ほんのちょっと感情を感じた、と思う。

 よくあるファンタジー小説では天使は感情がなく、上位存在の指示に従うだけの存在、っていう設定だがこのゲーム世界ではどんな存在なんだろうな? アセヴィルは知っているかな? 聞いてみるか。


「なぁ、アセヴィル。この世界の天使は感情を持っているのか?」

「この世界の、と言うことは異邦人の世界にも天使はいるのか?」

「いや、俺たちの世界には天使はいないよ。強いて言うなら創作物の中にだけいるな」

「そうか、いないのか。

 異邦人の世界の創作物の天使がどんな存在か知らないが、この世界の天使は下級天使程感情が濃く、上級天使になるにつれて感情は希薄になっていく、と過去の文献で読んだ記憶があるな。実際はどうなのか知らんが」

「そうなのか。……じゃああの天使が言っていた『下級天使』っていう自己紹介は正しい事だったのか。……あれ? でも、なんか違和感があるな」

「ん? 下級天使にあったのか?」

「あぁ、この世界に来る途中で会ったんだよ」

「そうか。……少しイズホに対して能力を使わせてくれ。ただこの世界での記憶を見るだけのものだから安心してくれ」

「なんか、急だな。少し嫌な予感がするんだが」

「本当に安全だから安心してくれ」

「そこまで言うなら良いけど」

「ありがとう。少し楽にしてくれ。すぐに終わる」


 そう言ってほんの少し集中するアセヴィル。

 よく分らんが、まぁ今も集中しながら安全、安全って呟いていることだし、少し楽にするか。

 少しすっきりしたような顔のアセヴィルが俺の頭に手をかざそうと手を伸ばした瞬間、俺の意識は暗転し、意識が暗転したと思ったら元に戻って、何事もなかったかのようにアセヴィルは元々座っていた椅子に腰を下ろして何かを呟いていた。


「ふむ。俺の記……の齟齬は交…事故……、か。……――」


 今、俺がいる位置からだとアセヴィルは少し遠くてところどころしか聞き取れなかったが瑞保?イズホ?の何かを確認して自分との違いを確認した、ってところか?

 俺との共通点なんて性別くらいしかないと思うが。

 それに『齟齬』とかなんとかの後は『交通事故』って言ってるように思えるな。

 確かに数年前に交通事故で怪我して身長が伸びにくくなってるが、って身長のことはどうでも良くて、何でアセヴィルが俺の過去を知ってるかが気になるな。

 俺に何らかの能力を使ったときに知ったのか? でもさっきの能力はこの世界の記憶を見るだけって話だったよな?

 そもそも記憶を見るって能力もなぜ見ることができるのかって疑問にはなるが。

 ここはゲームの世界だからなんかの特別なイベントかなんかのフラグか、ただ単に適当なことを言っているだけか。


 まぁ、今ここで何の情報もなしにアセヴィルの言葉の意味を量ったとしても殆ど意味のない考察になると思うから今の俺にはアセヴィルの言葉を覚えておくことしかできないな。



     △▼△▼△


 これからの行動と言うかアセヴィルが話した内容の纏めはどこまでしたっけ?

 えぇと、戦闘の懸念は纏めてムークォ聖王国と魔王国の関係も纏めたから、此処にきてからアセヴィルが話した内容は全て纏め終わったか。……聖王国で何をするのかについては、教えてもらえなかったというか、聞いてみたはいいもののはぐらかされたからわからないが。


 因みに、ただ頭の中で情報を纏めてたわけじゃなく、アセヴィルに貰った武器防具を鑑定しながら纏めていたんだが、これらの武器防具が凄すぎてこれからの情報を纏めるのがほんの少し遅くなった気がするな。……別に、アセヴィルが本格的に動き出すまでのこの世界での用事はレベルアップのための狩りとか冒険者登録をするために冒険者ギルドに行くだけだから、ゆっくり情報纏めたり、ゆっくり武器防具を鑑定していいんだろうが。


 で、これらの武器防具の情報も一応纏めとこうか。

 俺から見たら強すぎて、使いこなせるかどうか怪しい武器防具だが情報を纏めといたらいつか役に立つだろうと思って。


 まず1つ目のメイン武器の剣だがこれは何故か双剣をアセヴィルに渡されたんだよな。

 お前にはこれが使いこなせるだろう、とかなんとか言って渡されたが、正直使いこなせる気がしないんだよなぁ。……出会ったばかりだけどアセヴィルは俺のことを過大評価してるような気がするんだよな。まぁ、本当に“気”がするだけかもだけど。


 で、肝心の武器、双剣の鑑定結果は、



――――――――――


【武器・片手剣】魔―剣―すいけん 品―:優 レア度―

耐久100% 重量2 属性:魔水 魔力伝導率150%(水属性に限り180%) 聖力伝導率120%(水属性に限り150%)

魔―性の――神の――宿って――と言わ――魔水―性の―、魔―霊鋼で―き―いる。

装─者の水――の術―発――手助―を――とさ――い―。杖――わりも務―る。

両――剣。

少――広の片手―。刀――体は基――に濃―青で―り、刃に――くにつ――は薄くな――いる。

双――しても使え――うに調――れて―る。対――手剣。



【武器・片手剣】―水剣せい――けん 品質:― レア―9

耐久100% 重量2 属性:聖水 魔力伝導率120%(水属性に限り150%) 聖力伝導率150%(水属性に限り180%)

―属――水の――力が――ている――われる聖―属――鋼、―水霊―で―――いる。

装備――水系――術の発――手助けを――とされ――る。杖―代――も務ま―。

両刃の―。

少し幅――片―剣。刀身――は―本的―薄――であり、刃に――くに――色は濃――ってい―。

―剣と――も――るよ――調整され――る。―の――剣。


──────────


《スキル鑑定のレベルが低いため一部のみ表示します》


 伏字が多いけど2つの説明を合わせれば、ほんのちょっと欠けてるだけの状態になるから読めはするな。

 因みに2つの説明を合わせると、


魔or○属性の水の神の力が宿っていると言われる魔水or聖○属性の鋼、魔or○水霊鋼で─き─いる。

装備者の水系─の術の発――手助けを――とされ―いる。杖―代わりも務まる。

両刃の剣。

少し幅広の片手剣。刀身―体は基本的に濃or薄―青であり、刃に――くにつ―色は濃or薄くなっている。

双剣としても使えるように調整されて―る。対の―手剣。』


 こんな感じになるな。

 ここから読み取れることと言えば、魔と聖属性の水属性に特化した双剣としても使える片手剣、ってことだな。……考察や実際に持ってみた感想としては、伝導率の部分が水属性の場合は、って書いてあるから、弱点属性の土属性を流したら威力が落ちそうってことと、地味に有難いところは持った手の方用に変化するところだな。どうやって変化するのかはわからんが。

 双剣のステータスは見終わったから、次は防具だな。



――――――――――


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