3 世界改変の始まり


 水人族のデメリットを理解した後。


『では最後に名前を決めてください』


 名前は現実が『貝洲かいず 瑞保みずほ』だから『かいず』の『いず』と『みずほ』の『ずほ』を合わせて『イズホ』にするか。

 安直だとは思うが他に思いつくものもないしなぁ。


「名前は“イズホ”で」

『“イズホ”ですね。登録完了しました。では情報を読み上げていきますので間違っていないか確認をお願いします』

「了解です」


 そう言って、新しく出した仮想ウィンドウに俺の向こうでの身体と情報を映し出す名もなき天使。

 間違っているかの確認をしていくか。


『登録名『イズホ』、種族『水人族』、スキル『剣術』、『水術』、『杖術』、『鑑定』、『精神強化』、『土属性脆弱』、霊力『魔力』。以上がこの空間で決めた全てでございます』


 おぉ、読み上げてくれたのか。

 それなら天使の口上で確認すればよかったな。

 まぁ、ウィンドウの情報もあってたし、天使の口上も合ってたからいいとしよう。


「すべての情報が合ってた」

『そうですか。それではイズホ様の降り立つ大地を決めてください』


 そう言ってまた新たな仮想ウィンドウを出す天使。

 そこにはこの世界の地図みたいなものが表示されていた。


 世界の中心国『ダフルゥアイルィハニ』

 炎、水人族共生国家『フレイトゥル』

 水、土人族共生国家『ユニトゥルスイレ』

 土、風人族共生国家『ストグウィンス』

 風、炎人族共生国家『テラストレムウィング』


 この5つが選択可能なようだ。


 俺が選ぶとしたら『フレイトゥル』か『ユニトゥルスイレ』のどちらかだが後から火術を取得しようと考えてるから『フレイトゥル』一択だな。


「名もなき天使、俺は『フレイトゥル』に降り立つ」

『そうですか。それでは指定の地域に転移させましょう。イズホ様の冒険が波乱万丈のものになることを願って』


 天使がそう言うと同時に俺の足元に黄金に輝く陣が現れた。

 それの光が強くなるごとに俺の意識が遠のいていく。

 完全に意識が途絶える寸前、俺が見ている景色が変化した。

 それと同時に俺の意識が遠のく前の状態に戻った。

 今の俺の状況を確認すると、赤と緑を基本とした色の建物が多く立ち並ぶ広場の噴水の前の椅子に座っている状態だった。


 一応、ステータスを確認しておくか。



――――――――――


名称:イズホ

種族:水人族

職業:未設定

状態:正常

Lv.1

スキル

剣術Lv.1、杖術Lv.1、水術Lv.1、鑑定Lv.1、精神強化Lv.1、土属性脆弱Lv.10、初期スキル枠×1

称号:

装備:初心者の上着、初心者のズボン、初心者の木剣、初心者の杖

  『初心者装備セット効果』:5分につきHP及び魔力、聖力が1%回復


――――――――――


 こんな感じか。

 ついでに今俺の目の前を通った外套を被った、気配が薄いような人物を鑑定してみるか。



――――――――――


名称:ア――ィ―・―ブ――・――ト―ル

種族:―魔――

職業:―讐せ――ノ

状態:――

Lv.―

スキル

――Lv.―、―剣術Lv.3―、――術Lv.――、―術Lv.――、宮――法Lv.――、etc.

称号:世――加―、――の―徒、―知王――護、魔―――生き―り、―に―讐を―て――ノ、――支―者、etc.

装備:――剣『―――エ―』、―――杖剣『―――ク―――』、―――――、etc.


――――――――――


《スキル鑑定のレベルが低いため一部のみ表示します》

《只今の行動により鑑定Lv.1がLv.2に上昇しました》


 8割近くが見えてないからこそ、その強さがわかるというものだと俺は思う。

 て言うか名前の構成からしてこの世界では貴族か王族かそれに連なる者ってことだよな?

 普通はこんな序盤に出てくるような存在じゃないと思うんだが、まぁそこは《Worldワールド Creationクリエイション Simulationシミュレーション Systemシステム》を使っているからこその弊害特徴か?


 それになんか強そうな武器やら何やらを持ってるから関わり合いになりたくないな。


 ――なんて思ってるからこそ向こうから関わってくるのか?


「今俺を鑑定した異邦人。暇なら俺の用事を手伝ってくれ」

「……俺?」

「そう、お前だ」


 なんか感情が感じられない少し暗い声で手伝えって言ってくる始末。

 なんかのクエストか何かかもしれないし、これは受けといたほうが得になる、かもな。


「報酬とかってあるんですか?」

「報酬次第で手伝ってくれるのか?」

「報酬はなくてもいいけど気になっただけっていうか」

「手伝ってくれるんだな。まぁ報酬は手伝ってくれたらそのうち手に入るだろう」

「俺が手伝うこと。それが俺に対する報酬ってことか?」


 なんだろうな? 俺が手伝えば手伝うほど報酬が増えるとか?

 まぁ、今ここで考えてもしょうがないし俺がこの人を鑑定したからこそ発生したクエストかもしれないから手伝えるだけ手伝うか。


「お前が手伝ってくれたらその分お前の報酬も増えるだろうからな。まぁ付いてこい」

「分かった」



――――――――――

(個人ウィンドウ)

条件を満たしました。

チュートリアルクエストが待機状態になりました。

突発半永続ワールドクエスト『世界の改変』が進行します。

それと同時にプレイヤー“イズホ”の選択不可スキルの一部が選択可能になりました。


――――――――――


 なんか出てきたんだけど何? 永続ワールドクエスト?

 それになんかチュートリアルが待機になったし。

 どうすればいいのこれ?



――――――――――


お読みいただきありがとうございます。

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