10 街外れの不思議な雑貨屋


 休憩を終えた俺は街の外れにある雑貨屋に来ていた。


「お邪魔しまーす」


 この雑貨屋は休憩ついでに散歩してた時に出会った住民に訊いて教えてもらった場所だ。

 教えてくれた住民曰く街中の雑貨屋より品物の量は少ないらしいが、その分品質のいいものだったり珍しい物が置いてあるらしい。基本的な品物の種類は変わらないようだが。


「……いらっしゃい」


 このゲームの店に出されている物は基本的に種別と名称と品質、レア度までしかわからない様になっていて詳細を知りたかったらその都度鑑定をしなければいけないらしい。

 ただ、鑑定という行為自体をヒトやその所有物にする場合はそのヒトの許可を取らないと敵対行為に見做される可能性があるそうだ。俺はこれをアセヴィルとともに大使館に行ったときに教えてもらった。

 ということで早速店の商品を見ていくこととしよう。


――――――――――

(素材系に限り1㎏単位の値段)


【回復・HP】下級HP回復薬 品質:良 レア度3 700F

【回復・MP】下級MP回復薬 品質:良 レア度3 1,000F

【回復・傷】下級傷薬 品質:良 レア度3 400F

【生産・鍛冶】簡易鍛冶道具セット 品質:普 レア度2 6,000F

【生産・料理】簡易料理道具セット 品質:普 レア度2 5,000F

【下級術・書】水術指南書 品質:良 レア度2 4,000F

【生産・書】鍛冶初級指南書 品質:良 レア度2 3,000F

【生産・書】料理初級指南書 品質:良 レア度2 3,000F

【素材・金属】鉄 品質:優 レア度4 10,000F

【素材・木】狭霧木さぎりき 品質:優 レア度6 40,000F


――――――――――


 等々、これら以外にも様々な商品があるわけだが、取り敢えず俺が入店してから一度しか喋ってない店主のお婆さんに商品の鑑定をしても大丈夫か訊いてみるか。


「すみません。ここにおいてある商品の鑑定ってして大丈夫ですか?」

「……狭霧木とかの希少なもの以外は自由にしてくれていいよ。但し、普通のものもだけど手に取って細かく確認するのはやめておくれよ」

「了解です。ありがとうございます」


 店主のお婆さんからの許可がもらえたので適当に鑑定していくとするか。


――――――――――


【回復・HP】下級HP回復薬 品質:良 レア度3

重量1 属性:回復

Lv.1~Lv.50までの存在が使用した場合、最大HPの30%を回復する。

Lv.51~Lv.150までの存在が使用した場合、最大HPの12%を回復する。

Lv.151以上の存在が使用した場合、最大HPの3%を回復する。


【回復・傷】下級傷薬 品質:良 レア度3

重量1 属性:回復

Lv.25までの存在に受けた傷を完全に塞ぐ。最大HPの15%を回復する。

Lv.50までの存在に受けた傷を完全に塞ぐ。最大HPの7%を回復する。

Lv.75までの存在に受けた傷を完全に塞ぐ。HPは回復しない。

Lv.100までの存在に受けた傷を一部塞ぐ。HPは回復しない。

Lv.101以上の存在に受けた傷には一切効果がない。


【生産・鍛冶】簡易鍛冶道具セット 品質:普 レア度2

スキル鍛冶を簡易的に使用するために必要な道具セット。


【術・水】水術指南書 品質:良 レア度2

耐久100% 重量1

スキル水術の指南書。術の基礎から応用まで載っている。


――――――――――


 鑑定してみて、ここを教えてくれた住民が言っていた意味が分かった。

 此処の回復薬は他の雑貨屋に置いてある物よりも効果と品質、レア度がほんの少し上になっているようだ。

 例えば、他の雑貨屋に置いてあった下級HP回復薬の効果がLv.50までの回復量が最大HPの25%回復なのに対して、此処の回復薬は30%回復になっている。


 と、そのようにこの店の商品を鑑定して見て回っていたが、鑑定するのに夢中で当初の予定を忘れていた。

 そもそも雑貨屋には錬金用の道具を買いにきてたんだから。


 目的を思い出し、錬金の簡易道具セットに該当するものを探してみたがそれらしきものは見つからなかった。

 取り敢えず、店主のお婆さんに訊いてみるとするか。


「すみません。錬金用の道具って置いてありますか?」

「……今は普通のやつは品切れだね。売物じゃない普通の“ニンゲン”には扱えないあたしの使ってるやつなら裏に置いてあるんだがねぇ。どうしたもんかね。

 ……まあこれも何かの縁かね。取り敢えず付いてきな」


 そう言うなり店の裏手に消えていった店主のお婆さん。付いてこいと言われたことだし付いて行くとするか。

 それにしてもこの店主のお婆さん、俺に対して興味がないような、いや“俺に対して”は違う気がするな。俺に限らず何に対しても興味がないような、……これも違うな。


「……着いたよ。此処はあたしが作業する場所と錬金用の施設だよ」


 俺が店主の性格のようなものについて考えている間に店の作業部屋のような場所に着いたようだ。

 そこは部屋の壁中に掘られた白色の線とその線が向かう複数の機具らしきものが置かれた部屋だった。

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