第3話
「事件のことを詳しく聞く前にまずはあなたの人生について話してください。家族とか子どもの頃のこととか」
「……両親も国植の局員です。両親からは厳しくされた思い出しかありません。特に幼い時には毎日のように[あなたは国植のトップになるために生まれてきたの。あなたはホシノヒトミなんだから、お母さんとお父さんのためにも一生懸命勉強してね]と言われてきました。三歳の誕生日に、分厚い国家試験勉強用の植物図鑑を手渡され、その日を境に私は植物のために生きていくことになったのです。学校の植物学のテストではもちろん満点を取らなくてはいけませんでしたし、家に帰ればたくさんの花の世話が待っています。両親は、私に足りないと感じた資性や人となりを花言葉として持つ花を、[あなたのため]と言って次々と買ってきました。それはもう必死に育てるしかありません。一度リアトリスを枯らしかけて父親に、お前は向上心を持ちたいと思わないのかと烈火のごとく怒られました。……これが私の人生です」
厳格な家庭で両親の期待通りに育ったエリート局員ということだ。幼い頃からの勉強漬けの日々の苦痛は想像できるが、それを差し引いて考えても俺から見れば順風満帆な人生である。
次からが本題だ。
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