19.永遠にさようなら。
お姉ちゃんが、貴方がこんなに愛したお姉ちゃんが、貴方と結婚出来ないまま、この世を去ってしまった。
貴方に、癒えない傷を付けてしまった。
本当にごめんなさい。そう言って、押し付けてきたプレゼント。
返事も聞かずに走り帰ってきてしまった。
赤い袋の中身は一缶のドロップと、お姉ちゃんのふりして書いた手紙。
手紙の中身は、お姉ちゃんが結婚式の前日に私に話して聞かせてくれた、どれだけあの人を想っているかの気持ち。
私の気持ちは、一つも、少しも、入れ込むことなんてできなかった。
こんなにもあの人を愛しているのは、お姉ちゃんだった。
あの人の家から一目散に走り付いた先は自宅近くの河原で、誰もそこにはいないようだった。
川向こうや辺りから見える家々の明かりは、きっとみんな大切な恋人や、家族と過ごしているんだろう。
何で、何でこんなに私はあの人を好きになってしまったんだろう。
それなのに、どうしてこんなに苦しくて仕方ないんだろう。
こんなに好きなのに、お姉ちゃんには到底勝てない気持ちだった。
叫ぶ様に流れ出す涙は、一つの恋の終わりを告げる様に、長く長く、溢れて消えた。
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